総額約36兆円にのぼる補正予算が成立した。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史さんは「国内では18歳未満への給付金をどう配るかで大揺れだが、世界に目を向ければ日本はこれ以上バラマキをしている状況ではない」という――。
参院本会議で2021年度補正予算が賛成多数で可決、成立し、起立する岸田文雄首相(右端)ら=2021年12月20日、国会内
写真=時事通信フォト
参院本会議で2021年度補正予算が賛成多数で可決、成立し、起立する岸田文雄首相(右端)ら=2021年12月20日、国会内

「臭いものには蓋」でバラマキを続ける政治家たち

前回、プレジデントオンラインで日本財政がいかに危機的な状況にあるかを書かせていただいた。その後、財務省の矢野康治財務次官が『文藝春秋』10月号に寄稿し日本の財政が改めて話題になった。

わが国の財政を一番理解している方が警戒警報を鳴らしたのである。前代未聞のことだ。真摯に受け取らなくてはいけないはずだ。

しかし、一部の政治家の猛反対を受け、わずか2カ月前のことなのに何事もなかったような緊張感のない日々が戻ってしまった。

それどころか、永田町では18歳以下への10万円給付などバラマキの話ばかり。

「この国に財政危機などどこに存在しているのだ」と思うがごときのバラマキ補正予算は35兆9895億円で20日に成立した。今年度の税収の当初予測が57.4兆円だから、その62%にものぼる。

いやはや、もう原則もへったくれもありゃしない。補正予算とは「予算作成後に生じた事由で、とくに緊要となった支出」のはず。それが1年間の税収の半分以上の金額だ。

なに、それ? の世界だ。