「自民党の議席は276→233程度」という予想が多い

先週来、永田町では自民党、立憲民主党や報道会社が行った小選挙区ごとの情勢調査が出回っている。多少の濃淡はあるが、おおむね「自民党は公示前の276から減らし単独過半数の233程度」という予測になっている。

岸田氏自身が勝敗ラインを「公明党との与党で過半数」と低いハードルを設定しているので、この基準ならば「与党勝利」となるが、仮に自民党の議席が単独過半数ギリギリの233議席となれば40議席以上減らすことになる。これは、「政局レベル」の敗北である。

そもそも岸田首相が誕生したきっかけは8月下旬、自民党が非公式に行った情勢調査で、自民党が大幅に議席減となる可能性があることが判明し、「菅義偉首相のままでは衆院選は勝てない」という空気が党内に充満したことに端を発する。

自由民主党
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岸田内閣への支持は期待していたほど高くなかった

同じころ行われた横浜市長選でも、菅氏が推した候補が惨敗。結果として菅氏は総裁選に出馬することさえも断念。河野太郎氏、高市早苗氏、野田聖子氏を含めた4人の総裁選を勝った岸田氏がポスト菅の地位についた経緯は、広く知られている通りだ。つまり、岸田氏は「衆院選で自民党が勝ち残る」という期待のもと首相になったのだ。

ところが政党やマスコミの情勢調査は、菅政権末期の情勢と大きな変化はない。悪化はしていないが「岸田効果」で当選ラインに浮上した候補は極めて少ない。岸田政権が誕生以来、岸田内閣の支持は期待していたほど高くなく、自民党内で疑心暗鬼が広がっていることは10月6日に配信した「『まさか岸田政権の支持率がこんなに低いとは……』世論を甘くみていた自民党の大誤算」でも紹介したが、参院静岡補選の結果は、その不安が現実のものとなったともいえる。

昨年9月、首相に就任した菅氏にケチがつき始めたのは今年4月、衆参3補選・再選挙で1勝もできなかった時からだ。国政選挙の緒戦で敗れたダメージは軽視できない。ましてや、政権選択の衆院選が1週間後に控えている中での敗北は痛い。