頭全体が締め付けられる……緊張型頭痛の症状

緊張というと、プレッシャーのような心理社会的緊張をまず考えてしまいますが、身体的=筋肉への過剰な負担も含んでいます。筋肉を使いすぎたり、十分な休養を取らなかったりした結果、筋肉の過剰な緊張が起こります。

緊張型頭痛には以下の症状があります。

【北原式 緊張型頭痛5つのチェック】
1.片側よりもむしろ両側が痛む(両側の後頭部など)
2.頭の周りにバンドや帯がまかれているように頭全体が締め付けられている
3.頭頚部の筋肉のコリを伴う
4.吐き気、光過敏、音過敏などを伴うこともある
5.片頭痛よりも痛みが弱い

腰痛や肩こりは臓器の「がん」や脊椎の感染症などから来る「危険な痛み」がありますが、緊張型頭痛で「危険な頭痛」というものはめったにありません。危険な「急性の頭痛」の場合は、危険な状態があっという間に高まり、慌てて救急に駆け込むからです。

だから「危険な頭痛を見逃す」こともほとんどありません。私自身、外来で「危険な頭痛」を見たことは1回しかありません。しかし肩こりの患者さんを診た時に、がんが転移して肩甲骨の1/3が溶けてしまっている患者さんがおられました。

問題は危険な頭痛ではないと安易に考え、自己流で市販薬を飲んだり、お酒を飲んで紛らしてしまったりすることがあることです。さらに問題は、日本には頭痛患者さんが多い割には頭痛専門外来が少ないことです。

理由は、臨床的には頭痛の治療が医者にとって面白みが少ないことです。また、頭痛の原因には多かれ少なかれ心理社会的要因が入っています。だから面倒なことになりがちで敬遠されるのです。

こうして「頭痛になったらどの診療科にいくの?」と頭痛難民になる患者さんもいるだけに、自分自身で緊張型頭痛を起こすトリガーを見つけるなどセルフマネジメントがますます大切になってきます。

緊張型頭痛を引き起こす根本原因

対処法は、やはり治療と予防の両面からのアプローチが必要ですが、ほとんどの場合、緊張型頭痛が起こった時の治療だけに集中しているため、良くなることが少ないのです。

大切なことは、「起こさないようにする」こと、起こすきっかけ(トリガー)を見つけて対処することです。これは前回説明した「片頭痛」と一緒です。診断名にかかわらず、原因、治療法、予防法は基本的には同じですので、慢性の頭痛の診断名にあまり意味はないと申し上げたワケはここにもあります。

緊張型頭痛を起こすトリガーは以下の通りです。

・睡眠関係:不足、過眠、不規則
・身体的ストレス:脱水、低血糖、過労、眼精疲労、不自然な体勢
・心理的社会的ストレス:家族関係、仕事関係など様々
・化学物質:アルコール、カフェイン

片頭痛と違い、赤ワインや発酵性チーズなどの飲食によって劇的なトリガーになることはあまりありませんが、グルテンが緊張型頭痛に影響することもあり、グルテンフリーを心掛けている患者さんも多くおられます。グルテンフリーにすると、トリガーポイント療法「IMS」の鍼を刺しても、痛みが軽減されることも報告されています。