“自画自賛”がやる気を急速充電

現代に蔓延する「やる気ない病」。この病気は、自分の目標や将来像、理想像を描く能力が不足している人ほどかかりやすいといえます。実際のところ、日本人のほとんどが感染しているといっても過言ではありません。

先行き不透明な時代には絶対的な方程式などありません。「どうすればいいのか?」とうろたえ、行き当たりばったりの行動に出ては失敗する。すると「また失敗するのではないか」という恐怖感を呼び、「何をしても、どうせ俺には無理」という無力感に苛まれていきます。大手有名企業の経営者でさえ、社員のやる気、元気を引き出すにはどうすればよいのかと悩み、私のところに相談に来られます。

私が企業の人材育成のために提案しているのが「原田メソッド」です。これは、ビジネスマンが自分自身で(1)人生や仕事の目的、思い、志を立て、(2)自分にとって価値のある目標を設定し、(3)目標達成のための具体策をシナリオ・ストーリーとして鮮明に描き、(4)日々習慣とすべきルーティンワークや、果たすべき行動などを具体化させる、4段階の成功とやる気養成ツールです。

人は、未来に対して目的・目標や理想を設定すると、今の自分とのギャップを目の当たりにせざるをえなくなり、焦り始めます。この焦りが脳の中で快感を司る脳内神経伝達物質のドーパミンを引き出し、やる気が湧いてくるのです。それに、もし目的や目標がなければ、日々の行動は「誰かからやらされる」MUSTとなってしまいますが、目標があればそれは「自ら望む」WANTとなり、元気に活動できるようになります。

原田メソッドでは、「思考を文字にして書く」ことを徹底的に習慣化します。第1に「◯月◯日までに私は◯◯を達成します」と、具体的な目標内容とその「締め切り」を紙に書きます。この時、目標も行動も「より具体的」な形に分解していくのがポイントです。

第2に日誌をつけます。私が作成したスケジュール帳兼用の日誌では、1ページに1日分の時間割とto-doリストがあり、できたことに「◯」できなかったことに「×」を記入し、仕分けできるようになっています。また、「今日よかったこと・気づいたこと」「自分の生き方にプラスとなった言葉や出来事」などの項目に記入していきます。

モヤモヤした感情をそのまま放置すると気分は滅入るばかりですが、文字化することで自分の弱点や無意識に遠ざけてしまっていたこと、その解決策までが見えてきます。

日誌をつけるポイントはマイナスを反省するのではなく、「自分で自分を褒める」こと。日誌をいい意味での自画自賛ツールにするのです。仕事でうまくいったこと、いかに壁を乗り越えたか、上司からの励まし……メモの蓄積は、心の栄養となります。セルフエスティーム(自己肯定感)が高まり、自分の存在価値や居場所があることを再確認できる。スランプに陥っても振り返って読み返せば“急速充電”できるのです。

今のようなコミュニケーション不足の時代こそ、自分で自分を高く評価してやる気を高めていくことが必要です。“自分褒め”が上手にできるようになると、愚痴や弱音とは無縁の折れない心が形成されていきます。いつもプラス思考の自立型人間になるのです。