二流はフレームを使い、一流は躊躇なく“順番”を変える

例えば、ある営業マンが、「営業エリアを限定したい」と上司に提案したとします。PREPの流れを忠実に行うとこうなります。

Point(結論):私の営業エリアは、新宿区に限定したいと思います。
Reason(理由):なぜなら営業効率がいいからです。
Example(具体例):新宿区に限定すれば、1日5件訪問できます。今のままでは3件が限界です。
Point(結論):だから私の営業エリアは新宿区に限定したいと思います。

結論が明確で、言いたいことが整理されていて、説得力がありそうです。ただ、上司によっては、いきなり、「営業エリアを限定したいと思います」なんて結論から話したら、「そんなこと言ってないでもっと営業しろ」と言うかもしれません。

そこで、順番を変えてExample(具体例)→Reason(理由)→Point(結論)の流れで話します。

Example(具体例):たくさん営業できる方法を模索してまして、例えば新宿区に限定すれば1日5件訪問できます。今のままだと最大で3件です。
Reason(理由):地域を限定すれば、もっと営業効率が上がりそうです。
Point(結論):なので、営業エリアを新宿区に限定したいと思いますが、いかがでしょうか?

前述の言い方が直球なのに対して、後述は少しマイルドになったと思います。

PREP法はビジネス界の王道として知られていますが、相手に伝わることが目的なら、躊躇なく流れを変える。既成の枠に囚われないのが一流の発想です。

一流は、PREP法の順番を変えて説明する

「協力を仰ぎたい」三流は“やること”を説明する

会社の長期計画を実現する、新しいプロジェクトを立ち上げる、社内のルールを変更する、地域の催し物を開催する。これらを実現するのに、1人では何もできません。

だからこそ、各関係者に説明し、協力を仰ぎます。では、協力してもらうには何から伝えるべきか?

その答えは「目的」です。つまり「何のためにそれをするのか?」へのアンサーです。何の理由もなく、突然「今日の午後までにこの企画書仕上げといて」と言ったら、相手のモチベーションは下がります。さらに「つべこべ言わず指示に従え」なんて言ったら、反発も生まれます。やはり目的を伝えることが大切です。

会話をしながら歩く人たち
写真=iStock.com/PamelaJoeMcFarlane
※写真はイメージです

では、目的を伝えれば、みんなが動いてくれるでしょうか? おそらく、そううまくはいきません。

例えば、社長が会社を創業した目的、理念、ビジョン、ミッションといったものを社員に伝えても、どうも社員に響いていない、自発的に行動しようとしない。笛吹けど踊らずということがよくあります。