25年分の収入を貯めようと高リスク運用で失敗…長年の努力が溶ける

まず、25年分の年収確保というのは相当高いハードルである、ということです。仮に年350万円(月30万円弱)でやりくりするとしても、8750万円になります。

近年、日本では「億り人」という言葉がよく聞かれるようになりました。多くの場合、高額の資産をきわめてリスクの高い金融商品につぎ込み、幸いにも利益を出すことができた人です。ビットコイン長者などがこれに含まれるでしょう。

セミナーにお金を保持している実業家
写真=iStock.com/AH86
※写真はイメージです

40歳でリタイアすることを目指せば、社会人として働き始めてからの運用期間は20年弱しかありません。毎月10万円積み上げたとしても20年で2400万円ですから、かなり高利回りを求めることになります(ちなみにこのペースで億を達成するには年12%の実質リターンが必要です)。

短期間で「1億円以上」を稼ごうとすると、どうしても年10%以上のリターンがほしくなりますが、高リターンの投資は当然大きな元本割れのリスクがついてまわります。特にレバレッジをかけて暗号資産やドルのFXに挑んで、裏目に出たときはそこまでコツコツ積み上げた資産のほとんどを失いかねません。

収益額を最大化しようと投資金額を増やす行為もリスクが大きいです。最近のビットコイン相場の乱高下などで、資産を増やすどころか大きく損失して茫然自失という、泣くに泣けない状況もありえます。

つまり、メディアでもてはやされる「光(一部の成功者)」だけ見て、「闇(多くの脱落者)」に目を背けるような無謀なチャレンジとなってしまいかねません。

高利回り願望を持つ人にはもうひとつの危険があります。あやしい金融商品や投資話がにじり寄ってくるのです。高利狙いの人は、どうしてもそれらが立ち入る隙を許してしまいがちです。これも大きなリスクです。