「表現の自由」で報道を黙認するのが一般的

さらに言えば、記事では福山や家族を批判することが一切書かれていないという「配慮」もなされている。週刊誌では記事掲載前には、事務所に事前通告することになっている。撮影場所と日時、写真の概要などが掲載前に伝えられるのだ。事務所サイドは「子どもにモザイクがかかっているか」「タレントがマスク着用をしているか」などの項目を確認し、「表現の自由」を鑑みて報道を止めることはできないと黙認する、という形式が取られている。

すなわち『FRIDAY』記事は、業界内のルールを守った上での報道だったいうことができるのである。

それでも、プライベート記事を掲載されることを嫌うタレントは多い。福山と同じアミューズ所属のタレント賀来賢人は、自身のインスタグラムで写真週刊誌の誌名をいくつか挙げながら「盗撮するのは100万歩譲って許します。しかし、もし次、私の子どもを盗撮した記事を例えモザイクをつけたとしても、載せた場合、私は本当に怒ります」と子どもの写真の掲載を控えるように強く要求して話題になった。

福山自身も「いつでもモザイクを外せるような状態でその(子ども写真の)データが共有されているという事実がとても恐ろしい」と、今回ラジオで言及している。

筆者の週刊誌経験から言わせてもらえば、取材メモや写真の類いを見ることができるのは「編集長、担当編集者、担当記者だけ」とされている。週刊誌の立場だと「取材写真・メモは編集部内で厳重に管理されている」という説明になるだろう。

プライベートをビジネスにするタレントが“イタチごっこ”を生む

では、なぜこうした「子ども」のプライベート写真が記事になるのか。それはSNS時代となり、タレントがプライベートを公開することが当たり前になったからだろう。

例えばタレントの藤本美貴や芸人のくわばたりえなどは、ブログやインスタに目線だけを隠した「子ども写真」を堂々と掲載している。それにとどまらず一部芸能人の中には目線なしの「子ども写真」をアップしているケースもある。「タレント本人、もしくは子どもが認めているのならいいのではないか」という議論もあるが、実はこうした行為は週刊誌報道以上にリスクのある行為である。

「タレントのSNSでは子どもの顔が丸出しというケースも少なくなく、テレビでも顔出しで子育て特集などが放送されることが多い。ママタレと呼ばれる人たちもインスタに子どもの写真をバンバン上げています。子どもの顔にモザイクをかける必要があるという考え方は、子どもが誘拐事件のターゲットになったり学校でイジメに遭ったりするリスクを少なくするために出てきたもの。『子どものリスク』という観点から見れば、SNSやテレビなどのほうが、危険性がより高いといえます」(週刊誌記者)

iPhoneで子どもの写真を撮影する母親
写真=iStock.com/SolStock
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それでも子育てコンテンツが人気になるのは、視聴者や読者がSNSや子育てドキュメントを楽しんでいるという“ニーズ”があるからだろう。こうした状況が、他の大物タレントの子どもやプライベートを知りたいという好奇心を喚起し、それに応えようとするメディアを生む。一部のタレントがプライベートを公開すればするほど、他のタレントのプライベートも見てみたいという読者ニーズが出現するという“イタチごっこ”となるのだ。