いつの間にか「民間水準」を上回っていた

国家公務員に6月30日、夏のボーナス(勤勉手当)が支給された。管理職を除く平均支給額はおよそ66万1100円で、去年に比べておよそ1万9000円減った。夏の賞与が減るのは9年ぶりだという。9年前の減少は東日本大震災で復興のために増税することとなり、政治家も官僚も痛みを分かちあうべきだとして給与カットが行われた。今回の引き下げは「民間企業との格差を解消するため」で、0.025カ月分引き下げられた。率にして約2.8%の減少である。冬のボーナスは昨年まで3年連続で引き下げられており、公務員も「冬の時代」になったかのように見える。

秋の霞が関
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だが、「民間企業並み」にするためにボーナスを引き下げるということは、いつの間にか民間よりも待遇が良くなっていたということでもある。公務員は「薄給だ」という印象が強いが、実際にはこの20年あまり、民間の給与水準がほとんど上昇しない中で、公務員の給与はなかば自動的に上昇してきたことから、いつの間にか民間水準を上回っていたわけである。しかもしばしば「公務員の味方」と言われる「人事院」が引き下げを求めているのだから、官僚機構自ら「公務員天国」であることを認めているに等しい。

自衛官などの特別職は含まれていない

ちなみに、公務員給与が高いと書くと、現場の自衛官や警察官は薄給で世の中のために働いているのだ、という批判をする人がいる。だが、ここで内閣人事局が「国家公務員」と言っているのは、自衛官などの特別職をのぞいた霞が関で働く官僚たちのこと。しかも、各省庁の事務次官や局長、課長など管理職は含まれていない。ちなみに事務次官のボーナスは323万円、局長級で250万円、課長でも180万円前後と見られている。

この国家公務員のボーナスは、給与とともに民間の支給実績を調べて、それに準拠して決められる。独立した国の機関である人事院が政府に「勧告」を出し、政府はそれに従って増減を決める。基本的には4月の民間給与と、前年8月から7月までの民間の賞与を調べ、4月分の公務員の給与水準と比較して、改定を行う。毎年夏に「人事院勧告」が出され、それを政府が受けて秋の臨時国会に法案を提出、年末に給与改定が行われる。夏の賞与は昨年末の改定でほぼ水準が決まっていた。