たとえ分野が違えども、一流は一流だ。歌舞伎界を牽引する市川海老蔵丈に「芸能における学び」について聞いた。自らを磨き続けてきたトップランナーの学び方を知ることで、学びの本質についてヒントをつかむことができるはずだ。聞き手は、市川海老蔵丈と親交があり、仕事上のパートナーでもあるワントゥーテン代表の澤邊芳明氏が務める。
歌舞伎俳優市川海老蔵氏
歌舞伎俳優 市川海老蔵氏

市川海老蔵×自己研鑽「オレは歌舞伎になるんだ」

──芸を磨くヒントになる知識は、どのように得ていますか? 「芸の肥やし」なんて言葉があるけれど……。

特に何にもしていません。必要な情報は、アンテナにパッとひっかかってくる感じで、勝手に入ってくる。

ちなみに、昔は「女遊びは芸の肥やし」なんて言い方をしたけれど、それは江戸時代、最新情報が集まるところが遊郭だったからで、今はナンセンスな言葉だよ。昔の役者はふらっと吉原に出かけて、各界の一流の人たちから得た情報を花魁から聞き出し、芸のヒントにしていたから。

──今はSNSがその代わり?

そうだな、Clubhouseは芸の肥やしになると思う。僕の場合、InstagramやYouTubeは発信するだけだけれど、Clubhouseは情報の受け手になれるから。参加したルームで、誰かが一言、二言口にした重要な情報を聞き逃さずに、いかに自分のビジネスに生かせるか。クローズとオープンの使い分けができて、「芸の構築」もできることがポイントですね。