反論に対して質問で返す

反論してくる人に対しては「相手の考えの中で聞く」ということが大事です。

そのときの質問の仕方としては、「私はこう思いましたけど、どうですか」と上から聞くのではなく、極端に言えば、「(そんなに賢くない)私はあなたの意見をこういうふうに受け取ったんですけど、これはちょっと違ったりしますかね」というニュアンスがあると、相手は「苦しゅうない」となります。

そもそも自分のロジックで理解してもらえないときには、無理に自分の話をゴリ押しするのではなく、「相手のロジックって何なんだろうな」「相手のピラミッドはどのようになっているんだろうな」と考えながら聞いていくことがとても大事です。

話す側が「こうです。こうです。こうです」と言っている一方で、聞いている側は「いやいや、違うでしょ」としか考えていなければ、永遠にすり合いません。

だからこそ「何ですか」と聞くよりも、「まず相手に寄り添って、相手のつもりになって、相手のピラミッドを想像して理解してみる」こと。その後、仮説をもって「こうですか?」と尋ねる、というプロセスが必要なのです。

打ち合わせ
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寄り添えば相手の態度も変わる

こちらが寄り添えば、相手も変わります。もし自分の説明が違う意見であっても、相手に寄り添うことで、相手も「いや、実はこうなんだよね」と自分に寄り添ってくれる「対話モード」に変わっていくことが多いのです

相手と意見が異なっていたら、「自分の世界」ではなく「相手の世界」で話すこと。コミュニケーションは、「あなた対私」の対決ではないのです。伝える側は、常に「あなたが」を主語に考えましょう。「あなたがこれを理解してもらえるためにどうするか」を考え、「あなたの理解するレベルで、あなたの興味やモヤモヤしていることを、私があなたに成り代わって話します」というスタンスでいくとうまくいきます。

相手の立場、相手の目的を常に念頭に置いて進めていきましょう。

「私の意見をあなたに理解してもらって、私の意見を通す」ではなくて、「これは私の意見である」というスタンスで話す。そして相手の話を聞きながら、ピラミッドに整理していく。「ですよね。ですよね」と相手の話を肯定しながら聞いていき、「あなたの考えていることを受け止めます」というスタンスが相手に伝わるようにします。

そして、「だったらこのあたりに共通のゴールがありそうですよね」とか、「だったらこうしていくと、双方いいかもしれないですね」という双方のゴールを見つけるための提案をしていきます。

すると「あなた対私」というふうにはならずに「共通の結論」が出しやすくなります。