「日本人優秀」の確信が崩れ落ちた瞬間

アメリカやイギリスはここまでひどくありませんが、大同小異、レベルの違いはあれ、 日本ではあり得ないことの連続でした。しかし、海外にいる時間が長くなればなるほど、「日本人優秀」の確信はボコボコと崩れ落ちていきました。

まず、日本人の優秀さが発揮されるのは、言われたことや決まっていることを、命令通りに行う場合です。極めて真面目に遂行する。管理者だと物凄く助かります。しかも細かいところにも目を配ってしてくれるので、安心です。ものは盗まないし手抜きもしない。本当に真面目です。その点では極めて優秀です。多分世界一レベルでしょう。

ところが、臨機応変な対応にはことごとく弱いのです。例えば、飲食店でお客さんが「アレルギーがあるからこれを取り除いてほしい」と言った場合、対応してくれる店員さんはほとんどいません。「マニュアルで決まっているので……」と繰り返すばかり。

取り除くだけでもダメです。自分の頭で考えて、ここまでならお店の問題にならない、という人は皆無に近いのです。経営者的には従順だから助かりますが、お客さんとしてはあまり嬉しくありませんね。

イタリアの黒光りしたお兄さんと、ギャルセクシー系お姉さんの神対応

一方、命令に従うのが嫌いで、怠惰で適当な人々が多いイタリアはちょっと違います。

以前イタリアのLCC(格安航空会社)に乗った時に、チケッティングシステムがクラッシュしました。復旧しそうになかったので、その日は移動できないかなと半分諦め気分でした。しかし、その場にいた黒光りしたお兄さん担当者と、ギャルセクシー系お姉さん担当者と、おばさま担当者たちは、どこかにジャカジャカと電話をかけ始めました。

そして、突然、「おらよ!」とチケットをその辺の紙に殴り書きして、お客に次々と渡し始めました。そして、お客に「良かったね。バカンザを楽しんでちょうだいな。プロント、プロント(早く、早く!)」とウインクして、飛行機に乗せてくれたのでした。機内では、乗客の数を手で適当に数えて「空いてる席はあるか? ないな?」と確認して、さっさと飛行機が出てしまいました。

スチュワーデス
写真=iStock.com/Pongchart
※写真はイメージです

「席は適当に選ベ、人数が大体合ってればいい。クラッシュしたのは搭乗システムだけだから、飛行機は飛ぶし、安全性には問題がない。乗れば客はハッピー、会社もハッピー、チケットが殴り書きだからってなんの問題があるんだい? あとで会社にこうなったぜって言えばいいだろ。こんなもの単なる乗り物だ、乗れりゃいいんだよ。壊れたのは俺のせいじゃないし謝る必要はないぜ。とにかく問題を解決するのが優先さ」という考えのようでした。