海警法は「明確な国際法違反である」

産経社説は指摘する。

「日中両国が加わっている国際法(国連海洋法条約)は海上法執行機関に、外国の公船に対する武器使用を認めていない」
「日本の海上保安庁法は国際法に則って、武器使用の対象から外国公船を外している」
「ところが海警法では、海保巡視船への武器使用ができる。明確な国際法違反である」

中国は違反を承知でごり押ししてくる。それが中国なのだ。ただし、習近平政権はアメリカに反撃のチャンスを与えることになるため、武力による尖閣奪取には踏み切らないだろう。日本の領有権の主張を崩した後、尖閣諸島周辺海域の日中共同管理を言い出すだろう。問題は菅政権がそんなしたたかな習近平政権に太刀打ちできるかである。

自衛隊出動の議論を進めることも念頭に置くべき

産経社説は朝日社説と違い、自衛隊の出動を明確に主張する。

「日本政府は海警による海保への武器使用や尖閣上陸は法執行ではなく、日本の主権を侵害する軍事攻撃であり、そのような侵略は排除すると表明しておくべきだ」
「増強は必要だが、海保は軍事組織ではない。海警の攻撃を一手に引き受けさせることは難しい。自衛隊の早期展開の意思と態勢を整えることが急務である。それが侵略への抑止力を高める近道だ」

日本の主権を脅かす中国の行動は、侵略行為以外の何ものでもない。繰り返すが、日本は自衛隊出動の議論を進めることも念頭に置くべきである。それが抑止力につながるからだ。

ただし、同時に朝日社説が主張する「意思疎通のチャンネル」を構築することも欠かせない。抑止力とは言え、日本が自衛隊を持ち出すと、中国もそれに応じて軍隊を展開させる恐れがある。わずかでも軍事衝突を起こせば、日本にとっても中国にとっても痛手は大きい。軍事衝突だけは避けなければならない。

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