「連絡はいつもあなたのお父様のほうからで、私は一切していません」
結局、ケアマネジャーの提案から、父親の銀行通帳は藤原さんが預かることになったが、父親はその後も女性から要求されると、キャッシングをしようとしたり、家を売ってまでお金を渡そうとしたりする。
たまりかねた藤原さんは、父親の携帯から女性にメールを送った。父に連絡しないでください、と。すると、返信があった。
〈あなたは私に連絡してくるなとおっしゃいますが、連絡はいつもあなたのお父様のほうからで、私からは一切していません。あなたももう二度と連絡してこないでください。迷惑です〉
それを見た父親は、「こんなこと言う子なんだ……」とぽつり。
「彼女は都心にある家賃15万のマンションで、血統書付きの犬まで飼って暮らしているらしく、さすがの父も『お金に困ってるのに?』と疑問を感じ、幻滅したようでした」
乳飲み子を抱えながら、どこの馬の骨とも知れぬ女性に入れあげている還暦すぎの父親の身の回りの世話をすることに、藤原さんはほとほと疲れ果てた様子だった。
以下、後編〈1歳半の子と急激に衰える認知症の父…手を上げそうになった32歳女性を支えた「亡き母の手紙」〉へ続く。