「命とられるわけじゃないんだから」

たとえ、今日の収録時にミスしようが何しようが、どっちにしろ、「生きていかなきゃならん」。ここで、日本中の「中間管理職」の方たちもそんな気持ちで生きているんだと思うと、勇気がふつふつと湧いてくるんです。

それから、「もう一つうまくいかないな」というときに、僕の友達のお母さんに昔、言われたことがあります。「失敗したって命とられるわけじゃないんだからいいじゃん、失敗ぐらいなんじゃ」と言われて、本当に気が楽になりました。

その意味と同じで、渋沢さんの「やれるところまで、妥協せずにとことんやれ。あとは天命に任せて悔やむな」という言葉も温かいなと思いました。

空のテレビスタジオ
写真=iStock.com/Grafissimo
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「生きていかなきゃならん!」という僕の内側から生まれる声なき声に、とことん努力して、あとは「天命に任せる」。ありがとうございます、渋沢さん!

これがビビる大木の座右の銘だ

知るより好く、好くより楽しむ。楽しむになると、困難にあっても挫折しない――ただこれを知ったばかりでは、興味がない。好むようになりさえすれば、道に向かって進む。もし、それ衷心ちゅうしんより道を楽しむ者に至っては、いかなる困難に遭遇するも挫折せず、敢然として道に進む。【『論語講義(二)』雍也第六】

僕がすごく好きなのは、幕末もそうですが、プロレスもまた好きなのです。ジャイアント馬場さんが全日本プロレスのモットーとしていたのが、「明るく・楽しく・激しく」です。僕はこの言葉が好きで、座右の銘にしました。

全日本プロレスも見ていましたが、僕は新日本プロレスをよく見ていました。見ながら、「明るく楽しい戦いとは何だろうな」と考えていました。プロレスファンの方たちは、「もっとヘビーで、殺伐とした試合を求めているのではないか」と思っていたからです。

40歳を過ぎて分かった「激しさ」の意味

大人になり、40歳を過ぎたあたりから、「猪木さんと馬場さん、僕は両方好きですが、馬場さんの存在はやはりすごかった」と思うようになりました。ですから、「明るく・楽しく・激しく」という意味合いも、「明るく楽しくして、そこに激しさがあるといいよな」と、40歳を過ぎてからしっくりしてきました。その激しさの中に、馬場さんは強さとか、ときにははみ出す意味も含んでいたのではないかと思います。

馬場さんは、ルールを破った人間をあまり好きではなかったようです。ギャンブルばかりしていた選手をクビにするなど、「レスラーである前に、人であれ」と語っていました。もともと巨人の投手でしたから、そのようなことをおっしゃるのだと思います。