吉本興業が変革を進めている。大﨑洋会長は、吉本の活路は「地方創生・デジタル・アジア」という。この3つの柱は日本のビジネスパーソンが向き合わなければならない壁でもある。吉本は何に取り組んでいるのか、取材した。
マイクを使って暗い空のステージ。
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大﨑洋・吉本興業会長「まじめに、お笑いの話」

──コロナ禍でエンターテインメントは崩壊などといわれている。吉本興業にとって、2020年を振り返るとどういう年だったか。

大阪の「なんばグランド花月」や東京の「ルミネtheよしもと」など、日本全国に劇場が14館あるが、20年3月からは観客を入れた劇場公演を中止した。テレビ番組も収録が難しくなり、再放送ばかりになった。収入源の多くが絶たれてしまった。所属芸人だけで6000人もいる吉本興業だが、芸能事務所の中で最も新型コロナウイルスの影響を受けただろう。

ただ自分たちが「大変だ、大変だ」と悲鳴を上げるのは違う。日本中、世界中の皆さんが大変だし、より厳しい状況にある人もいる。そんな中、吉本興業にできることは、新しいエンターテインメントに挑戦することだと思う。「星に願いを」ではないが、「笑いに願いを」込めて、世の中の人たちが幸せになるためにできることをする。