初対面で信頼される人と、信頼されない人は何が違うのか。数多くの受験生の信頼を獲得し、人気予備校講師となった犬塚壮志氏は「相手によって違う自己紹介をしたほうがいい。そのためには2つのポイントがある」という——。

※本稿は、犬塚壮志『人気NO.1予備校講師が実践! 「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

インタビューを受けるビジネスマン
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信頼できる人の言葉だけが持つ力がある

長年の友人からの「真剣にやっている?」は「真剣さが足りないのかも?」と自問自答する気持ちにさせてくれますが、会って日の浅い人から「真剣にやっているの?」には「やっているよ!」という苛立ちにつながります。

あるいは、恋人からの「最近、がんばっているね」はよりがんばるためのエネルギーになりますが、同僚からの「最近、がんばりすぎでしょ」は嫌味に聞こえることもあるでしょう。

両者を分けているのは、メッセージを発した相手との間にある関係性や信頼感です。人間は、同じ内容の言葉を受け取っても、信頼している人からのメッセージにはポジティブな反応を示し、信頼関係を結んでいない人からのメッセージには不信感や反発心を抱くものです。これは社会心理学の研究で明らかになっています。

信頼関係の有無で、生徒の成績が変わる

私が駿台予備学校に勤めていた頃、講義の内容以上に心がけていたのが生徒との信頼関係を構築することでした。なぜなら、同じ内容の講義であっても、生徒との信頼関係があるかないかで、生徒の成績の伸びが大きく変わってくるからです。

信頼している講師の言葉は、生徒を前向きな方向へ促します。ところが、生徒が講師のことを信頼できるかどうか探っている段階では、成績も伸び悩みます。

予備校講師の場合、生徒たちの成績が上がって初めて評価されます。生徒との信頼関係を大切にするのは、生徒たちの成績のためであると同時に、講師自身の評判にも直結するからでもあるのです。

重要なのは、聞き手が「誰に何を言われたか」の「誰に」の部分です。どんなに正しい指摘であっても、役立つ情報であっても、信頼関係のできていない相手の話は素直に受け取ることが難しくなります。

一方、信頼できる人の言葉は、相手の心を動かし、新たな行動を起こすきっかけとなるのです。そして、背中を押されて行動を起こしたという実感と、そこから得られた経験・成果によって、聞き手は話し手のことをさらに信頼し、味方になってくれます。