「いいね」に振り回されずにチャレンジする

現代の世界では、インターネットの反応を全く無視するわけにはいかないので、ツイッターなどの「いいね」の数を無視するわけにはいきません。霞を食って生きている仙人であればともかく、世の中の動向を全く無視して超然としているわけにはいかないのです。しかし、私は、それに振り回されることがないように努力しています。

需要が大きいものに対応することは必要です。しかし、それだけでなく、自分がどのような供給ができるかを考えることも重要です。この両者の調和が必要なのです。なお、多くの人が関心を持っていることについて、一般にいわれていることが間違いであるとか、観点を変えれば全く別の結論が出てくるといった場合があります。多くの人の考えをただ受け入れるのではなく、それにチャレンジすることが必要です。

事実に関する2次情報を、あなたが書く必要はありません。リンクすればよいだけのことです。しかし、その事実の意味、背景、解釈、あるいは将来における予想などを述べるのであれば、価値があります。そうしたことにこそ、力を注ぐべきです。

なお、「問題の設定こそ重要」というのは、書籍や論文の執筆に限ったことではありません。「何をしたらよいのか?」、あるいは、「そもそもどんな職業に就いたらよいのか?」ということこそ、最も重要な選択なのです。これらの選択に関しても、先に述べたこと(需要、供給の両面を考慮する必要がある)がいえます。

テーマの掘り下げは昔よりはるかに容易になった

ITの進歩によってもたらされた大きな変化は、テーマさえ見つけられれば、それに関する情報を探し出すのが簡単になったことです。

30年ほど前までであれば、テーマを見つけたとしても、それを掘り下げていくための情報を得るのは、容易なことではありませんでした。そのためには、書籍や雑誌などを参照しなければならなかったのです。

しかし、いまでは、そうした情報は、ウエブを検索することによって簡単に集まるようになっています。とくに統計データについて、そのことがいえます。また、海外の論文へのアクセスも、グーグルスカラーによって可能となっています。