朝倉博行(70歳)会社名:トリプル・ウィン/開業年:2015年/従業員数:1人/資本金:100万円/売り上げ:4000万円/今後の目標:自分の理想のホテルをつくり上げる

誠意あるコンサルが最大の広告宣伝に

職場からは再雇用を打診されたが、「上に立つ人間は引き際が大事。代わりに自分のやり方で、お世話になったホテル業界へ恩返しがしたかった」との思いから退職し、65歳で起業した朝倉さん。勝算はなかったというが、会社員時代に培った人脈と経験が成功の一因だ。

チェーン展開しているホテルは、自社でコンサルの人材もシステムもある。私がお手伝いするのは、新規でホテルをつくりたいという方々。
チェーン展開しているホテルは、自社でコンサルの人材もシステムもある。私がお手伝いするのは、新規でホテルをつくりたいという方々。

起業から5年目の2019年時点で年間売り上げは4000万円に迫る。大学を卒業後、第1次オイルショックで就職難のなか、第一ホテル(現阪急阪神ホテルズ)に入社。ベルボーイからスタートし、管理部、企画部などで18年実績を積み、三菱地所のホテル事業部へ転籍入社。在籍時は、プロジェクト推進室長としてロイヤルパーク汐留タワーの開業・運営に携わり、シティホテル初のタイムシェアリングサービスを導入するなど、斬新な試みで初年度黒字に成功した。

退職後、トリプル・ウィンを設立。現在はホテルコンサルティングが業務の中心だ。

「既存ホテルの運営改善とスタッフの意識改革の支援、新規開発や他業種からのホテル事業参入支援、その他にホテルに関する顧問業務。この3つを軸にやっています。独立当初は、ホテルの覆面調査も。タダで泊まれて、レストランで食事もできるので羨ましがられましたが、調査項目が膨大にあり大変でした。周りからのアドバイスで『退職後、間を空けないほうがいい』と言われ、退職した翌日に起業したのも正解でした。間が空くと気力が失せていたかもしれない」