危機に備えたJAL、ご法度発動のANA

JALは2020年8月3日に2020年4~6月期決算を発表し、純損益は937億円の赤字と、経営破綻前の09年4~6月期の純損益990億円の赤字に匹敵する規模となっています。新型コロナウイルスの影響で国際線、国内線ともに旅客が大幅に減り、業績が悪化したのです。しかし、財務指標を分析すると経営破綻後に徹底してきた経営方針が、いまのショックで効果を発揮しつつあります。注目点は、「イベントリスクへの対応」「財務的な経営規律」「徹底したコストカット」です。

コロナウイルスによる景気後退
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エアラインは固定費率が高く、キャッシュの重要性が非常に高い業界です。航空業界がリーマン・ショックを超える未曽有の危機に直面したわけですが、今回のJALの資金確保の動きは迅速でした。破綻を経験したJALは、資金繰りの重要性をどこよりも認識しているのでしょう。まずは、20年3月末までに577億円の資金調達、その後、コロナ禍への備えとして総資産の3割近い5000億円規模の資金調達に動いたのです。航空業界は固定費が高い構造であるため、企業の活動がストップすれば一気に財務状況が悪化しショートします。それを防ぐため、資金確保が重要です。JALは「イベントリスクに即座に反応」しています。