しかし、サイクリストの中には道路交通法に従う・従わない以前に「従わねばならないことすら知らない」人も少なくなく、現役ドライバーからも「無知ほど最強なものはない」というため息声が聞こえてくる。

その中でも最も怖いのが、「子どものサイクリスト」だ。

子どものサイクリストの中に、運転免許を取ったことのあるサイクリストは無論皆無。彼らが「最近取れた」と喜ぶものは「免許」ではなく「補助輪」で、走行技術の未熟さゆえにフラフラしやすいうえに、法と危険を知らないため、怖いものがないのだ。

そんな彼らに毎度背筋を凍らされるのが、歩道から突然車道に降りる行為。彼らは、目の前の障害物にしか意識が向かないため、歩道の向こうから人が来たと思った瞬間、何のためらいも確認もなく車道に降りるのだ。

これら3つの理由から分かるように、事故時に一番ダメージのある車両にも関わらず、ルールや危険スポットを知らず、無防備な状態でクルマと並走する自転車は、車体が丈夫であるがゆえに「最強」とされるも立場的には最弱のトラックにとって、もはやただの脅威でしかないのだ。

コロナ禍でますます高まる自転車需要

そんな自転車は、健康ブームや高齢者ドライバーによる免許返納の機運が高まったことで、ここ数年その需要を大きく伸ばしてきたのだが、昨今のコロナ禍によって、その傾向はより一層高まりつつある。

先日、新型コロナウイルスが通勤形態に与えた影響を分析するべく、au損害保険株式会社が「週1回以上、自転車通勤する東京都在住の会社員男女500人」にアンケート調査を行ったところ、約4人に1人が通勤時の「密」を避けようと、コロナ流行後に自転車に乗り始めた人がいることが分かった。

また、79.0%の人が「アフターコロナの日本社会で自転車通勤は広がっていくと思う」と回答。この結果からも今後、現在以上のサイクリストが日本の道路を走行することが予想できる。

さらに、外出自粛やテイクアウトを始めたレストランの急増によって、宅配代行サービス「ウーバーイーツ」などの需要も急増。道路ではこれまで以上に配達員サイクリストに出くわす回数が増えた。

時間に追われると走行マナーは悪化する

これらの現象はつまり、道に不慣れだったり久々にペダルを漕いだりする多くのサイクリストが、現在自動車たちとタイヤを並べて走っていることを意味する。

こうして趣味ではなく「生活・労働手段」として自転車に乗り始めると、必然的に気にせざるを得なくなるのが「時間」だ。

実は自転車には法定最高速度の規制がないのだが、そこに時間という追われるものができれば、彼らの走行マナーはより悪化する。