韓国のリスクは文政権そのものだ

現在、韓国経済の先行き懸念が高まっている。6月24日、国際通貨基金(IMF)は、韓国の2020年の実質GDP成長率の予想値をマイナス1.2%からマイナス2.1%に下方修正した。さらに7月12日、韓国の有力シンクタンクである韓国経済研究院は、本年の成長率がマイナス2.3%に陥ると一段と厳しい予想を示した。

SOUTH KOREA NATIONAL ASSEMBLY OPENING 
写真=EPA/時事通信フォト
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2020年7月16日、ソウルで第21回国会の開会を告げた。

その背景には、新型コロナウイルスの感染拡大で世界の貿易取引が落ち込み、韓国経済をけん引してきた輸出が減少していることがある。個別の産業では、輸出競争力を発揮した半導体に代わる新しい成長分野が見当たらない。そうした経済構造のまま、韓国全体が経済環境の変化に対応することが難しくなっている。

重要なポイントは、いかに経済環境の変化に対応する力をつけるかだ。そのためには、思い切った構造改革が欠かせない。

一方、最近の文在寅政権の政策を見ると、財政支出を増やすことで、何とか目先の景気を支えようとしているように見える。それでは、長い目で見た韓国経済にとって大きなプラスにはなりにくいだろう。

文政権自体が、韓国にとって見逃せないリスクになりつつあるといえそうだ。