しばしば曲解された論理展開が見られた

英語には「apple to apple」というフレーズがあります。りんごの優劣はりんご同士での比較がなされる必要があるという意味です。異なる条件下で比較をすることを「apple to oragnge」といいます。りんごとオレンジのどちらが優れているか? に対して答えを出すことはできないのです。まさに、欧米と日本を比較するのは、りんごとオレンジを比べているようなものでしょう。

このウイルスとの戦いにおいては、しばしば曲解された論理展開が見られると感じます。

新型コロナがはやり始めた初期の頃、「このウイルスはしょせん、感染力の強い風邪にすぎない。湿気や気温が高くなれば自然に消える」という論者と、「赤道に近い高温多湿のシンガポールでも感染者が増えている。ということは夏でも猛威を振るうということだ」という論者がいました。

シンガポールの感染拡大の原因は

しかし、冷静に見てみると「高温多湿のシンガポールでも感染者が多い!」という後者の論拠は曲解されています。シンガポールでの感染者は、貧しい外国人労働者に集中していることが明らかになっています。換気が悪いワンルームに、20人もの人が詰め込まれて働かされる、劣悪な環境下で働く外国人労働者たちが感染者数の母数を増やしていたのです。極端な環境下で起こった事象を「シンガポールという国がウイルスにやられている」とするのは、拡大解釈が過ぎるのです。

換気が悪く、人が密集し、栄養状態も良くない人たちが母数を増やしてる状況で「シンガポールでも感染拡大しているのだから、このウイルスは従来のように夏に収まるものではない」と主張は冷静さを欠いた主張に聞こえます。その後、アメリカ政府は研究データを用いて「ウイルスは紫外線と湿度に弱い」と発表しました。この発表が正しいとするなら、少なくとも夏は冬ほどの猛威を振るう前述の主張は否定されることになります。