イートン校のリーダー教育をオンラインで学べる

年間600万円以上となると、庶民にはとても手が出せない金額だろう。だが、近年では英語力の壁を乗り越えれば、超名門パブリックスクールの教育を受けられる選択肢も登場している。

たとえば、超名門パブリックスクール、ザ・ナインのうちの一校で、イギリス王室のウィリアム王子やヘンリー王子も通ったイートン校が展開する「イートンX」。これはイートン校で行われているリーダー教育のエッセンスを詰め込んだプログラムをオンラインで提供するというもの。イートンXの運営はイートン校と別組織になるが、プログラム開発には同校の教師陣が参加している。

提供されるプログラムは「Future Skills Program」と呼ばれ、「Critical Thinking(多面的探究)」「Creative Problem Solving(創造的な問題解決)」「Public Speaking(演説法)」など、全11のコースがある(2020年5月現在)。1コースにつき、7週間のカリキュラムが組まれ、生徒は反転学習による自習と、オンライン教室でのロールプレイやディスカッション、共同学習などに取り組む。

イートンXのCEO、キャサリン・ウィティカー氏は、次のように語る。

「変化が非常に速い時代に、アカデミックな学習だけでは成功することはできません。誰もが早い時期から、イートン校で伝統的に教えられてきたリーダーになるためのソフトスキルを学び、使っていくことが重要だと考え、中高生から受けられるプログラムにしました(大学生や社会人研修にも対応)。イートンXは1クラス最大8名で、各クラス1名のチューターがついて、自習はもちろん、生徒間の学びを積極的にサポートしていきます。MOOCs(Massive Open Online Course)のように一方的で受け身ではなく、非常にアクティブな授業であるのが特徴です」

コース修了後には、修了証明書を授与される。正式な学校卒業資格や単位にはならないが、ひとつの学びのキャリアとして履歴書に記載できる。何より世界中から集まった生徒たちとイートン校のプログラムの課題を達成した経験は、確かな実力と自信につながるだろう。1コースの料金は、2カ月で約5万円。全コースを受講しても55万円。インターに入れたり、留学したりするより各段に安く一流の教育を受けられるのだ。

イートンXのCEO、キャサリン・ウィティカー氏。2019年11月27日にイートンXの日本展開を行うグローバルスカイ・エディケーションで行われた記者会見の様子。
イートンXのCEO、キャサリン・ウィティカー氏。2019年11月27日にイートンXの日本展開を行うグローバルスカイ・エディケーションで行われた記者会見の様子。

学費無料のインターナショナルスクールも登場

一方、2019年9月に開設されたサイエンスに特化されたマナイ・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー(以下、マナイ)は、学費がかからないインターの高校だ。マナイには決められたカリキュラムはなく、入学すると、生徒は自らのプロジェクトを立ち上げて、研究に取り組む。

マナイの生徒はそれぞれが自分のプロジェクトを持ち、研究を行う
マナイの生徒はそれぞれが自分のプロジェクトを持ち、研究を行う

そのプロジェクトをサポートするために学外メンターがつく。興味深いのは、この学外メンターが、生徒の研究について知恵やネットワークを提供するだけでなく、資金援助も行うということだ(Senpai制度)。

メンターからアドバイスをもらうマナイの生徒
メンターからアドバイスをもらうマナイの生徒

「『才能はコミュニティで育てるもの、そして、その活動を通じてコミュニティに還元されるもの』というマナイの理念に賛同してくれた科学者や起業家、企業などが、生徒を経済的にも支えます」(マナイ創立者・野村竜一氏)

親が授業料を払うという教育費の常識を覆して、マナイというコミュニティのもとで才能ある人材に投資しているのだ。それだけに社会や科学界に一石を投じる才能が求められるが、こういう学校があることを知っておいて損はないだろう。

例えば、わが子は日本の学校では劣等生だが、何か一つでも夢中で探究しているテーマがある。そんな子供にはマナイが合っているかもしれない。

とはいえ、マナイのコミュニティに参加するにも、必要なのは英語となる。可能性を広げるためにも、英語を勉強させることは選択の幅を広げることになる。ちなみに、イートンXで求められる英語力は、「最低でもCEFR(語学のコミュニケーションスキルを示す国際標準規格)でB2レベル、IELTS5.5」(ウィティカー氏)。これはTOEICで785~940と非常に高いレベルだが、一つの目安としておきたい。