感染者ゼロ県の岩手が恐れる「鳥取砂丘事件」

「ベスト8」「神セブン」「六武衆」……。新型コロナウイルスへの感染が新たな県で確認されるたびに、“生き残った”県が注目を集めることになったが、4月9日に島根県、10日に鳥取県が“脱落”。感染未確認はついに岩手県を残すのみとなった。

「火山灰でウイルスが叩き落されている」「蟹がうまいから」「家ごと雪に埋もれているから感染しようがない」「妖怪だ」「出雲大社だ」などなど、なぜその県で感染が確認されていないかについて大喜利の様相を呈していたSNSが、今度は「岩手優勝」と沸き立っている。

しかし、“強豪”たちにとっては、勝ち残ってしまったがゆえのリスクが生まれた。すでに散々報道されているが、「コロナ疎開」問題だ。先週末、鳥取砂丘に押しかけた観光客たちの映像が物議を醸した。すでに緊急事態宣言が現実味を帯びていたにもかかわらず、感染が拡大している大都市から、感染未確認県へ押しかけるとはなにごとか、と。

マスクを着けて新幹線に乗る女性=2020年4月5日、宇都宮駅にて
写真=iStock.com/krblokhin
※写真はイメージです

ついに唯一の感染未確認県となった岩手県だが、観光客が「疎開」する愚行だけは避けるべきだろう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者の死亡率が高いとされる。岩手県全体の平均年齢は約49歳と全国平均と比べて2.6歳ほど高く、全33のうち7割を超える24市町村で平均年齢が50歳を越える。ちなみに最高は和賀郡西和賀町の約58.7歳で、次点の岩手郡葛巻町の56.8歳を大きく引き離してぶっちぎりの首位だ。そんなところにウイルスを持ち込もうものなら大顰蹙ひんしゅくでは済まない。