「緊急時通報システム」「家事援助サービス」
「介護割引」を利用せよ

遠方に住む老親が要介護の状態になったとき、遠距離介護にならざるをえないという人は多いだろう。故郷に帰るとなると仕事を辞めなければならず、かといって、親をこちらに呼び寄せようと思っても家は狭いし、妻や子供とうまくやっていけるかどうかわからない。親だって住み慣れたところを離れるのを嫌がる……。今後そういう人はますます増えることが予想される。

私の取材体験から考えると、要介護1または2で家事援助(食事、洗濯、掃除等)が必要な段階であれば、介護保険等を利用して何とか遠距離介護を続けることは可能。だが、独居で要介護3以上あるいはトイレに行くことができなくなった場合、遠距離介護を続けるのは相当、困難になる。その段階が施設入居を検討すべき時期だ。

東京―福岡の場合、月に2度で年間約140万の負担が!
写真を拡大
東京―福岡の場合、月に2度で年間約140万の負担が!

遠距離介護にならざるをえない場合、まずすべきなのは、親族会議を開くこと。兄弟とその配偶者などと役割分担や帰省のローテーション等を話し合えば、物理的にも精神的にも負担がかなり軽減する。そのほか、実家近くに住む親族にも応援を要請したい。ただし、介護の押し付け合いにならないよう、冷静に話し合うことが重要だ。

次にすべきなのは、地域包括支援センター等に相談し、遠距離介護についてのサービス内容を調べること。具体的には、(1)介護保険を申請し、要介護度認定後に利用できそうなサービスの検討、(2)自治体が行っているサービスの利用、(3)ボランティアが行っているサービスの利用、などが考えられる。

自治体が行っているサービスの一例としては、ほとんどの自治体が行っている「緊急時通報システム」サービスがある。要介護者に万が一のことがあって電話口までたどりつけなくなったときに、胸にぶらさげているペンダントを押せば消防署員等が駆け付けるサービスだ。自治体によっては、無償でサービスを行っているところもある。

ボランティアが行っているサービスで特に利用できそうなのは「家事援助サービス」。近隣の主婦が中心となって行っている有償(平均金額は1時間700~800円)のサービスだ。家事援助のほか、食事の宅配サービスなども行われている。

このほかにも遠距離介護は予想以上の費用がかかる。月2回帰省したとすれば、交通費だけでも大変。さらに、妻が介護のために帰省したとすると、夫や子供の食事が外食になりがちになり、さらに出費がかさんでしまう。

飛行機で帰省する場合は、JALやANAでは最大40%弱の介護(帰省)割引があるので、ぜひ利用しよう。割引適用に必要な「介護パス」は、認定証明のある介護保険証、戸籍謄本または戸籍抄本などを用意して航空会社に申請すれば、2週間ほどで送られてくる。また、要介護者は障害を有することも少なくない。障害者手帳の交付を受ければ公共料金等が割り引かれるケースもあるので、これも出費を抑える一助となろう。