超厚底「アルファフライ」の威力とナイキのしたたかさ

アルファフライが公式に発表されたのは日本時間の2月6日だが、ナイキは1月某日、一部のメディアに新モデルを発表し、筆者もそれに参加した。ただし、写真撮影はNGで、「情報解禁日」も設けられた。

米国のナイキ本社で厚底シューズ開発のリーダーを果たしてきたブレット・ホルツ氏が来日。「東京の夏に向けて準備した商品を紹介できることをうれしく思います」と切り出して、直々にアルファフライのスペックを紹介した。

写真提供=ナイキ

ミッドソールにはこれまでの厚底シューズでも使用されてきたカーボンファイバープレートを1枚搭載している。前述した通り、カーボンファイバープレートが3枚入っている、という報道があったがそれは完全な間違いだった。

カーボンファイバープレートは6~9層の素材を重ねることで硬さを調節している。サイズの小さいシューズは6層、大きいシューズは9層という具合だ。カーボンファイバープレートは1枚でも、その反発力を高めることができる。選手によるカスタムも容易で、限定品として一般発売すればトップ選手の使用もできると考えられる。

前足部にズーム エアも搭載して「厚さは速さだ」をさらに体現

靴底の厚さは、「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」の37mmから39.5mmにアップ。かかと部分はエネルギーリターンの高いズーム Xフォームが増量したことになる。そして、最大の特徴といえるのが、前足部にズーム エアが搭載されたことだ。

ズーム エアは1978年にナイキが作ったソール素材で、そこからさほど進化はしていないという。ただし、過去のモデルにない使い方をしている。前足部に左右2つ並べる形で入っているのだ。

1つは母指球あたりに搭載したことで、蹴り出すときの反発性を高めている。またズーム エアはズーム X フォームよりも耐久性に優れているため、シューズ自体の耐久性もUPするという。前足部のソールはラスト(靴型)よりも少し幅広になっており、エネルギーリターンを高めると同時に、安定性も確保した。

アッパーは現行モデルが織り素材のヴェイパー ウィーブなのに対し、高温多湿な気候での着用を考慮した通気性のある編み素材のアトムニットを採用。こちらも耐久性が向上した。