日本の子どもは睡眠時間が世界一短い。2017年に17の国と地域で行われた調査では、昼夜合計で最下位だった。1位のニュージーランドとの差は2時間近く。医師の森田麻里子さんは「こうした事実は医療者や子どもの保育に関わるプロの間でもほとんど知られていない」と指摘する――。

※本稿は、森田 麻里子『東大医学部卒ママ医師が伝える 科学的に正しい子育て』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

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知識がないまま諦める親は多い

子どもの仕事は、食べる(飲む)こと、遊ぶこと、寝ること。

何を食べさせるか、何を飲ませるか、どんな遊びをさせるかについては、さまざまな情報があります。

一方で、睡眠についてはどうでしょう。

子どもをどのくらいの時間、どんな風に寝かせてあげればよいか、また安全な寝室環境の作り方について、知る機会はほとんどないと思います。

夜泣きや寝ぐずり、夜ふかしや夜驚症など睡眠のトラブルで困っているママ・パパは多いのに、あまり情報にふれる機会はありません。そして、ほとんど知識のないまま、子どもだから仕方ないと諦めてしまうようです。

睡眠のトラブルは、実は改善できるものも多いのですが、そのことは医療者や子どもの保育に関わるプロの間でもほとんど知られていないように感じます。

私は息子がなかなか寝なくて困った経験から、子どもの睡眠について特に力を入れて発信し、診療も行っています。

ここでは、乳幼児に関わる全ての方に知っていただきたい、子どもの睡眠の基本についてお話ししていきたいと思います。