長嶋茂雄、木村拓哉両氏の競演CMが話題となっているセコムは由緒正しいベンチャー企業だ。1962年に飯田亮が日本警備保障(セコムの前身)を興すまで、日本に民間警備業は存在しなかった。まったく新しい業態だったのである。
ベンチャーの草分け、セコムも今では日本を代表する企業となり、飯田も財界の重鎮として政府から各種会議の座長を委嘱されるまでになった。そんな飯田は部下をどうやって育ててきたのか。
出来心が芽生えたらオレの顔が浮かぶように
セコム 飯田 亮 取締役最高顧問●1933年、東京生まれ。学習院大学卒業後、家業であった酒問屋に入社。62年に日本警備保障を創業し、社長に就任。97年より現職。著書に『正しさを貫く』(PHP研究所)などがある。
セコムを始めて5年経った66年、うちの社員が警備先のデパートから宝石を盗んで逮捕された。私は三重県に出張していたけれど、あわてて帰京し、すぐに得意先に謝りに行った。
「まことに申し訳ありません。二度と起こしません」とひたすらお詫びした。すると、得意先は「飯田さん、わかった。これからしっかりやってくれ」と励ましてくれたんだ。ところが、それから1カ月くらいの間に窃盗事件が6回も続けて起こった。度重なると、さすがに相手も「しっかりやってくれ」とは言わない。被害にあった得意先の担当者から「ふざけるな」と雑誌を顔に投げつけられたこともあった。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
(最初の7日間無料・無料期間内はいつでも解約可)
プレジデントオンライン有料会員の4つの特典
- 広告非表示で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント
