「1月解散、2月総選挙」で求心力回復を図るというシナリオ

安倍首相が「2020年の新憲法施行」を本気で目指すならば、2019年に憲法改正を争点に掲げた衆院選で勝利し、そこで与えられた民意を背景に改正手続きを加速させる必要があった。

衆参ダブル選を実施していれば、国会での憲法改正発議に必要な衆参3分の2以上の改憲勢力を維持できていた可能性は高く、12月9日までの臨時国会中に国民投票法改正も成し遂げられていただろう。

これまで安倍首相は絶妙なタイミングで解散権を行使し、国政選挙での勝利を重ねることで求心力を維持してきた。そのことを踏まえると、2度の解散見送りは計算が狂ったといえる。

政府内には、来年の通常国会召集日を1月6日ごろに早め、補正予算を成立させた上で衆院を解散すべきだとの声もある。「1月解散、2月総選挙」で疑惑払拭と求心力回復を図るというシナリオだ。

「結局、何もできなかった長期政権だった」

しかし、相次ぐ閣僚の辞任や「桜を見る会」をめぐる疑惑で予想以上に逆風が吹いており、与党内には慎重論も強い。1月解散を見送った場合、次のタイミングは来年度予算成立後の4月または五輪閉幕後の早秋に模索することになるが、そもそも今夏の衆参ダブル選を見送った理由である「憲法改正の実現」につなげることを考えれば、その時期の解散では遅きに失しているだろう。

ある民放のベテラン記者は、安倍政権の現状を冷ややかに見る。「来年1月に解散できなければタイミングを失い、レームダック化していくのではないか。憲法改正、拉致問題解決、北方領土返還、2年で2%の物価上昇目標達成……。結局、何もできなかった長期政権だった」。

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