ということは、眠っているもう半分の力を発揮できれば、より一層のパフォーマンスが発揮できることは明白です。今いるメンバーは、力を持て余しているといっても過言ではありません。

メンバーを「使えない」といって切り捨てるか、「まだ力を発揮していないだけ」と捉えるかで、接し方も変わってきます。ぜひあなたには、後者の見方をしてもらいたいと思います。プレーヤーとして優れたリーダーほど部下のパフォーマンスが低いと切り捨てがちですが、リーダーとして一流の人は、メンバーの可能性を信じて接し続けるものです。

部下が全力を出せないのはリーダーのせい?

人にはまだ発揮されていない能力が眠っています。しかし、多くの人は、その能力を正しく引き出すことができていません。時には、リーダーの物事の捉え方が偏っているあまり、力を出せていないケースもあります。

鈴木颯人『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)

たとえばあなたが長年育ててきたメンバーに、上層部から昇格の打診があったとしたら、どのように捉えるでしょうか。「メンバーにとってチャンスだ!」と前向きに思える人もいれば、「まだ昇格なんてさせられる実力じゃない」とネガティブに思ってしまう人もいるでしょう。

どちらが正解というわけではありませんが、メンバーの眠っている力を発揮できる可能性があるのは、もちろん前者ですね。このように、物事の捉え方一つで、引き寄せる結果は大きく変わってきます。

ではその物事の捉え方はどのようにして決まるのかというと、その人が持っている「思い込み」です。ポジティブな人からすれば「チャンス」と思えることをネガティブに感じるということは、特定のシチュエーションが、悪い感情と結びついて脳の中で記憶されている可能性があります。