サラダを食べたりサプリメントを飲まなくても、麺やパンといった主食を食べるだけで、約30種類の栄養素を摂取でき、健康な食生活を送ることができる──。そんな“完全栄養食”が話題を呼んでいる。開発したのは、かつては自身もラーメンやカレーライスばかりで栄養が偏っていたというベースフードCEO橋本舜氏。いまや大手食品メーカーも参入する完全栄養食誕生の秘密に、田原総一朗が迫った。

DeNA入りを決めた、あの会社説明会

【田原】橋本さんはどちらの出身ですか?

ベースフード CEO 橋本 舜氏

【橋本】大阪の吹田市です。正確にいうと、母の実家の熊本県八代市で生まれて、父が働く大阪で育ちました。

【田原】お父さんはどんなお仕事を?

【橋本】祖父が測地設計の会社を立ち上げていて、父はその2代目でした。

【田原】大学は東大の教養学部だった。

【橋本】父が経営者であることもあって、最初は主に経済学部に進む文科II類に入学しました。でも、文科II類は経営学より経済学のほうが強くて、理論中心でした。一方、そのころにスティーブ・ジョブズが学生のころにカリグラフィーを習っていた話を聞きました。新しいものを作るには、経済のことだけではなく、文化やテクノロジーなど幅広く知っておいたほうがいい。そう考えて教養学部に進みました。

【田原】起業はそのころから考えていたんですか?

【橋本】いや、父親から「いきなり起業するより、大きい会社に入って学んだほうがいい」と言われて、その通りだなと。起業する気はなくて、どこかに勤めて新しいものを作る仕事に就こうと考えていました。

【田原】入社したのはDeNAだった。

【橋本】大きい会社の説明会に行くと偉い人が一方的に話すことが多いのですが、DeNAでは説明会で南場(智子現会長)さんが「ツイッターってやってる?」「どういうときに使ってるの?」と、むしろ学生に質問することのほうが多かった。自分が将来大人になったときにどちらになりたいかといえば、南場さんのように、好奇心を持って若い人からも学ぶ姿勢を持ち続けられる人かなと。

【田原】DeNAでは何を?

【橋本】最初はケータイゲームを作る仕事でした。

【田原】ゲームですか。新しいものをやりたい人にとって、面白かった?

【橋本】面白かったですよ。東大生は真面目な仕事はできるけど、映画を作るとか小説を書くとか、クリエーティブな仕事はできないと言われていて、僕はそれがコンプレックスでした。ゲームのディレクターをやって、自分も人を楽しませる仕事ができるんだと自信になりました。