最大の問題は、居住費の二重負担

命からがら生き延びたとしても、次にやってくる生活再建には高いハードルがある。住まいを確保する自己資金がなければ借りるしかない。

共同通信社=写真

公的支援策として生活再建に必要な資金を貸し付ける災害援護資金制度(最大350万円)、「り災証明書」を交付されている人を対象とした住宅金融支援機構の災害復興住宅融資制度(例えば新築住宅購入の場合、基本融資2620万円に加え特別加算510万円)など通常よりも低金利の融資制度はあるものの、消失した家にローンが残っていれば二重ローンの問題は避けることはできない。

「一番の問題は居住費の二重負担です。被災者とはいえ債務返済できなければ破産法に則って自己破産するしかありません。でも、自己破産には様々なデメリットが伴います。

そこで知っておいていただきたいのが16年4月に発足した自己破産のデメリットを受けずに私的整理によって住宅ローンの減免などを行う『自然災害債務整理ガイドライン』という仕組みです。成立すれば、被災者生活再建支援金や弔意金などは原則として手元に残せるので、自己破産とは大きく違います」

これは法律ではなく、銀行業界の自主的な取り組みで、被災者と銀行との話し合いで決まるのだが、手続きに伴う弁護士費用は無料なので、一種の公的支援である。

「ところが認知度が低いのか、15年9月以降の災害に適用されるにもかかわらず、登録支援専門家に委託した件数が18年9月末の段階で920件しかないのです(うち債務整理成立件数272件)。被災者は何十万人もいるはずなのに」

公的支援制度はいずれも基本的に被災者自らが申請や申し込みをしなければ優遇措置を受けることはできない。どんな制度があって、どんな支援が受けられるのかを知っておくことは大切だ。

とはいえ、公的支援は最低限のものでしかない。では、被災する前に私たちができることは何か?

地震保険は高いという誤解

「貯蓄で生活再建できる人はほとんどいません。でも、危機管理として私たちにできることといったら保険くらいしかないのです。ですから地震保険には入っておいたほうがいい。『地震保険は高い』『大災害が起きたら保険会社も潰れてしまうから掛けても無駄になる』という誤解もまだ多いのですが、火災保険にセットしている割合は6割を超え、年々増えています」