先ほどの病院の区分の話とも繋がるが、仮に“総合病院”をうたっている大病院であっても、実は“総合的”な診療はできない病院が多くあるのだ。有名病院だから安心だと、慶應義塾大学病院や聖路加国際病院といった大病院に行けば安心とインターネットで検索をはじめるのは必ずしも賢明とはいえないのだ。

医師たちがつくるオンライン医療事典「MEDLEY(メドレー)」の監修を行う内科医の園田唯氏も国や医師会が推奨する通り、まずかかりつけ医に見てもらうことを勧めるという。「家の近くの病院や診療所の医師と良好な関係を築けているようであれば、そこで診察してもらうのが一番いいと思います。小さな変化にも気づきやすいですし、その病院では治療ができないと判断したら紹介状を書いてくれるはずです」(園田氏)。

園田氏が近所の病院での受診を勧めるのにはもう1つ理由がある。「例えばガンの場合、近所の病院で受診し、大病院を紹介してもらって手術を受けることが多いです。手術が成功しても、実はそれで終わりではない。その後しばらく病院に通い続けなくてはなりません。その際には、近所の病院に通って薬を受け取り、何かあった場合は大病院に行くというのは理にかなっています。最初の段階から遠い病院を選択してしまうと、術後の病院通いの負担がとても大きくなってしまいますから」(園田氏)。

それまで病院に掛かっておらず、かかりつけ医と呼べる医師がいない場合はどうしたらいいのだろうか。神野氏は「近隣で、総合診療科もしくは家庭医療科がある病院を探して受診することをお勧めします。これらの科に所属する医師は幅広い知識があり、病気の特定が得意」と語る。この総合診療医、テレビなどでドクターGとも呼ばれる。幅広い医療知識を有し、日本では69年に佐賀大学医学部に設立されたのを皮切りに、全国に拡大。18年度からは内科や外科と並ぶ基本領域の専門医として認定されることになった。ただし、「総合診療医、家庭医療医は全国的に数が少なく、見つけるのがなかなか難しい」(神野氏)という現実もある。

かかりつけ医がおらず、近隣に総合診療医、家庭医療医も見つけられない場合はどうすればいいのだろうか。園田氏は「新しい知識を取り入れることに熱心な医師を探すのが一手だと思います。例えばインターネットを使えば、その地域で勉強会を主宰している医師を見つけられるかもしれません」と話す。

さらにこう話してくれた。「患者さんやご家族の方に病気の説明をしていると、病気から目を背けてしまう方も少なくありません。少しずつでよいので、情報収集を病気に向き合う一歩としてほしい。実は医療の世界では昨日の正解が今日にはひっくり返るということもよくあることです。客観的な情報を自ら集める姿勢が、結果的に医師との良好なコミュケーションや満足いく治療を受けられることに繋がると思います」。ておきたい。

園田 唯
日本内科学会認定内科医
オンライン医療事典「MEDLEY」医療監修。日本呼吸器学界専門医。日本赤十字社医療センターなどを経て現職。
 

神野正博
恵寿総合病院理事長
日本医科大学卒業。専門は消化器外科。金沢大学附属病院などに勤務した後、1995年より現職。全日本病院協会副会長。
 
(撮影=岡田晃奈、研壁秀俊 写真=iStock.com)
【関連記事】
ヤバい病院は「待合室」を見ればモロバレ
看護師の妻と暮らす夫は最強の「勝ち組」
運動しない人の「生涯現役」が無謀な理由
医師が教える"絶対に風邪をひかない方法"
現役医師が風邪・インフル予防で"飲む薬"