2011年7月20日(水)

名誉毀損罪 -ネット書き込みで悪口はどこまで許されるか

PRESIDENT 2011年7月4日号

著者
村上 敬 むらかみ・けい
ジャーナリスト

1971年、大阪府生まれ。東京外国語大学外国語学部(マレーシア語科)卒。ビジネス誌・エンタープライズIT誌を中心に、自己啓発から経営論まで、幅広い分野で活躍中。

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ライター 村上 敬=文 ライヴ・アート=図版作成
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飲食店やホテルを選ぶときに役立つ口コミサイト。実際に足を運んだユーザーが書き込むリアルな評価が人気の秘密だ。しかし一方で、悪口を書き込んで店とトラブルになることもあるようだ。

真っ先に思い浮かぶのは民事における損害賠償請求だ。しかし、そもそも名誉毀損は犯罪行為でもある。3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金という刑事罰に処される恐れがある(刑法230条)。

たとえばラーメン店がカルト集団と一体であるかのような書き込みをした男性が名誉毀損罪に問われた裁判では、2010年3月、最高裁が被告側の上告を棄却。罰金30万円の有罪判決が確定した。

どのような書き込みをしたら罪に問われるのか。ネットトラブルに詳しい宮本督弁護士は、「意見の表明なら、名誉毀損罪にあたらない」と指摘する。

「名誉毀損罪は、事実の摘示が要件の一つ。たとえば『店にゴキブリがいた』という事実を書いてはじめて名誉毀損罪に問われる可能性が生じます。単に『おいしくない、汚い、接客が気に入らない』と感想を書くだけなら表現の自由」

しかし、単に感想を述べるだけでは説得力に欠けてつまらない。自分の意見を裏づけるために、「料理が出てくるのが遅くて冷めていた」などと客観的事実を書くケースもあるだろう。

この場合は、事実が真実であるかどうかが分かれ目になる。本当は10分で出てきたのに、30分かかったとウソをついたら、名誉を傷つけたとして名誉毀損罪になりうる。

また、虚偽の情報でお店の経済的評価を貶めたり、営業に支障をきたせば、信用毀損罪・業務妨害罪に処される(刑法233条)。信用毀損罪・業務妨害罪の法定刑は、名誉毀損罪と同じ。どちらにしてもウソはご法度だ。

では、真実なら何を書いてもいいのか。答えはノーだ。名誉毀損罪は、公共の利害にかかわる事実で、目的が公益を図ることだった場合、それが真実なら罰しないことになっている(刑法230条の2)。裏を返せば、内容に公共性がなかったり、目的に公益性がなければ、本当のことを書いても名誉毀損罪が成立するというわけだ。

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