長男に偏った相続を長女は了解するのか

ただ、私はこうアドバイスしました。

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「財産の分割割合については注意が必要です。今回の試算結果から、障害年金のあるご長女に遺すべき資産は1200万円ですが、ご長男は祖父母の不動産を含め3500万円相当になり、偏った相続となります。ご長女は納得されるでしょうか」

両親の気持ちを確認すると、「このまま、長男がどうしても働けない場合は、長女を説得するしかないと思います。ただ、この結果をそのまま長男に伝えると、安心をしてしまい、働く意欲を失ってしまう恐れがあります。長男には、財産はある程度、偏りなく分けることを前提に今後のお金について話をしたい」とのことでした。

先の見通しが立ち、長男は職探しに積極的になった

そこで、長男には、2500万円程度は残せるものとし、ライフプラン上、1000万円程度不足することを伝えてはどうかと提案しました。

今から60歳まで1000万円を稼ぎ出すためには、年間約70万円、月額6万円ほどの収入が目標額となります。

父親は言いました。

「月額6万円なら、アルバイトでも達成できそうだし、ハードルが低く、目指しやすい金額ですね。これから、実家に一緒に住んで支出を抑えるか、今の生活を維持しつつ6万円の収入を目指すか、本人に考えてもらおうと思います」

ライフプランからのアプローチが、ひきこもり状態の人が「次の一歩」を進むきっかけになるというケースは少なくありません。両親は、ライフプランを立てたことで不安が解消できたことや、長男が働くきっかけになればという期待を持ったようでした。

後日、ご両親に話を聞いたところ、長男は月額6万円という収入目標が出たことで、以前のような「働かなければいけない」というプレッシャーは減ったということでした。その分、肩の力も抜け、職探しにも前向きになり、現在は配送業の仕事を探しているそうです。