多くの企業で社員の英語力を測る基準として使われているTOEIC。短期間で点数をアップさせるには、自分の能力に応じた勉強方法を知ることが大切だ。5つのレベル別にポイントを解説しよう。第1回は「300点台まで」――。

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年4月16日号)の特集「英語の学び方」の記事を再編集したものです。

半日で「うろ覚え」撲滅 中学生向け問題集で

300点台までの人が肝に銘じるべきは、基礎を疎かにすると遠回りになるということだ。土屋雅稔氏は「基本である中学英語に立ち返るのが一番の近道」という。

「このレベルの人は中学英語さえボロボロのはず。ぜひ中学生向けの問題集からはじめるといい」

さっそく書店に行って、平積みされている売れ筋から5~6冊選んでみよう。1冊ではなく複数冊に取り組むには訳がある。

「ちょっとした解説方法の違いで、わかりやすい場合とそうでない場合があります。その意味で、数冊取り組めば安全です」

何冊もこなすのは負担に感じるかもしれないが、中学生向けのものならば、それほど時間はかからない。

「薄手のものなら1冊1時間、数冊あっても半日もあれば一通りは終わるはずです。問題を見てパッパと正答できるようになるまで繰り返しましょう。あれ、何だっけ? と考えているうちは知識が定着していない証拠。ケアレスミスを差し引いても、9割5分まで正答できるようになったら中学英語を卒業です」

英語ビギナーは、そもそも勉強習慣を身につけるのも一苦労かもしれない。だからこそ一気呵成に片付けることでエンジンがかかるという。

「英語の勉強はやろうと思えば一日中でも続けられるものだと体感するのが大事。肉体労働ではないので体は疲れませんから」

次のステップとして土屋氏が勧めるのは単語の強化だ。

「TOEICの文法は決して難しくないが、単語がわからなくて解けないことがある。短期間に300点台を脱するには単語力アップが有効です」

そうはいってもTOEIC用に特化した単語集に飛びつくのはまだ早い。中学英語の復習が終わった段階で身についているのは、せいぜい1200語程度(※)。その後の積み上げとして使えるのは、意外に思うかもしれないが、英検用の単語集だ。

(上段:文法)「中学レベルの文法問題集を1時間程度で解く。中級者がウロ覚えの箇所を復習するのにも役立ちます」
(下段:単語)「ビギナーが短期間で結果を出そうと思ったら単語を覚えるのが早い。隙間時間はとりあえず単語をやると決めておけば隙間時間が結構あることに気付くはずです」

(左上)『中学英語の総復習』くもん出版/1000円+税
(右上)『高校入試 中学3年分をたった7日で総復習』学研プラス/780円+税
(左下)『究極の英単語 SVLVol.1 初級の3000語』アルク英語出版編集部著アルク/1600円+税
(右下)『CD付 英検5級絵で覚える単熟語 三訂版』旺文社/1200円+税

※2018年度より1600~1800語に改訂(文部科学省「中学校学習指導要領解説 外国語編」より)。