汗ばむ夏、「におい」が気になる季節だ。ビジネスでも「悪臭」が相手に与える印象は非常にネガティブ。だが、人は自分の臭いには鈍感なもの。さらに、わかっていても対策が不完全な人も多い。『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(光文社新書)を出した内科医の桐村里紗氏は、「清潔にしたいからと洗浄力の強いシャンプーを使うと、むしろ臭いや抜け毛がひどくなることもある」と、シャンプーを休む「休プー」を勧める――。

※本稿は、桐村里紗『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(光文社新書)を再編集したものです。

頭臭は洗いすぎで悪化する

ふとしたときに気づく自分の頭臭(あたましゅう)。Tゾーン以上の皮脂分泌量を誇る頭は、脂臭くなりやすく、悩みの種になる。

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特に、男性ホルモンが皮脂の分泌を促進するので、ミドルエイジの男性では、頭臭が強くなりやすい。ミドル臭の原因になるジアセチルは、主に頭頂部や後頭部から発生しやすく、20代よりも、30代、40代の方が、においが強くなる。枕のにおいも気になってくるだろう。

ただし、ストレスや生活習慣の乱れによっても、自律神経やホルモンのバランスが崩れることで、頭皮の皮脂分泌が増えるので、頭臭は男女ともに起こりうる。

頭臭の主な原因は、皮脂の酸化や、皮脂をエサに繁殖した常在菌の代謝物だ。

そこに、汗臭や、髪の毛に付着したにおいなどが混ざって、渾然一体となっている。

頭は、気になって洗えば洗うほど、なぜか脂臭くなり、フケが出る。また、夏場だけでなく、乾燥するはずの冬場に、ますますベタつきが悪化する……などという怪奇現象も起こりやすくて、厄介だ。

皮脂は、洗わなくてもダメ。洗いすぎてもダメ。皮脂には、皮膚を守り、pHを弱酸性に保つことで常在菌のバランスをとる役割があるので、適度になくてはならない。

洗いすぎて皮脂が取れすぎてしまうと、皮膚を守るために、ますます皮脂の分泌は高まってしまうのだ。冬場に、逆に頭皮がベタつくのは、乾燥が原因だ。余分な皮脂は、適度に洗い流し、同時に適度に潤わせておくことで、過剰な皮脂を抑えることができる。

日常的にシャンプーを使用している人の場合、洗髪直後は、誰もがにおわなくなるが、24時間後には皮脂の量はほぼ回復し、その後も増加していく。

なので、夏場であっても1日1回、冬場であれば1~2日に1回程度、シャンプーするのが適度なペースだ。整髪料を使用している場合は、残らないように洗い流す必要もある。

シャンプーは3種類、どれを使うべきか

シャンプーには、主に3種類ある。高級アルコール系シャンプー、石鹸系シャンプー、アミノ酸系シャンプーだ。

多くの市販のシャンプーは、高級アルコール系シャンプーと言われるものだ。洗浄成分として、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸などの合成界面活性剤が使われている。洗浄力や脱脂力が非常に高く、爽快感はあるものの、皮膚表面を傷つけ、皮脂を取り過ぎて、乾燥の原因になる。連用することで、ますます皮脂分泌を増やす可能性がある。