外資系高級ホテルを商談の場とする経営者は多い。利用するホテルの成り立ちをあなたは知っているだろうか? 商談の場であるホテルを知ることはビジネスにも効果がある。エピソードは会話の糸口になり、選んだ理由を語れば商談も盛り上がる。ホテルは生活そのものを商品にした人間臭いビジネスだ。その歴史を語るのは、国と人の物語を辿るようでとても楽しい。外資系ホテルチェーン、誕生と発展の物語を見てみよう。

ヨーロッパで始まり、アメリカで発展

19世紀後半、社会の産業化や帝国主義などの影響で、欧州では富裕な市民階級の消費活動が活況を呈した。その旺盛な消費活動を背景にいわゆる「グランドホテル」が登場する。グランドホテルは社交機能が色濃く“貴族のような”豪華な生活を商品化したホテルである。その真骨頂が1889年にロンドンで創業したザ・サヴォイと、1898年に創業したパリのリッツである。ともにホテル王の先駆け、セザール・リッツが手掛けたものである。

アメリカでは20世紀初頭から一定の規格化や効率化を実現したチェーン系ホテルの元祖ができ始める。エルスウォース・スタットラーが1908年に開業したホテルを祖とする最初のチェーンであるスタットラーを端緒として、1927年に当時世界最大の3000室(実際は約2500室と言われている)を有したスティーブンズ(現シカゴ・ヒルトン)が開業したことに一つのピークを見ることができる。

その後、ホテルチェーンはアメリカを中心にいくつも登場し、より一層のスタンダード化、ブランド化の道を辿る。チェーンホテルを核としたホテルビジネスはアメリカを中心に発展していく。現在でも多くのホテルチェーンが北米基点のチェーンだ。主なチェーンの歴史を見てみよう。