「説明会に学生が全然来てくれない」。空前の売り手市場で、そう嘆く中小企業の採用担当者は多いようです。しかし採用コンサルタントの礒谷幸始さんは「学生と出会うチャンスはいくらでもある。たとえば就活生に『1万3000円のハンバーガーをごちそうするよ』といえば、会社説明会より効率的に知り合うことができる」といいます――。

※本稿は、礒谷幸始『1万人を面接してわかった 上位5%で辞めない人財を採る方法77』(プレジデント社)の一部を加筆・再編集したものです。

合同会社説明会のブースは人気企業の横に位置取りする

人気のある業界であれば、会社説明会など就活イベントの集客にもそれほど苦労はありません。しかし、人気のない業界、例えばパチンコ業界は大変です。飲食業界の中にも苦労している企業は少なくありません。

写真=iStock.com/Kesu01

そういう業界が集客しようと思ったら、異なる業界とのコラボレーションという手があります。1つは、合同会社説明会の会場で、人気大企業の近くにブースを確保すること。もう1つは、他の業界と共同で何か就活イベントを行うことです。

まず前者ですが、ブースの位置取りは、自分に都合よく決めてもらうのは簡単ではありません。しかし、それも「井の中の蛙(かわず)」になっている人の思い込みです。合同会社説明会のサービス提供会社との交渉次第では、都合の良いブースの位置取りは可能なこともあります。

私はJTBやJALといった人気大企業の横にブースを設けてもらったこともありました。それら大手の説明会には、ネームバリューで多くの学生が集まりブースから人があふれますが、会場の雰囲気は静かです。担当者のプレゼンも、「私たちの企業理念について」とか「創業○○年の歴史があり」といった一般的な普通の説明なので、集まった学生はただメモを取っているのみです。面白くて笑っている学生はあまり見ません。

そのすぐ横で、こちらは軽妙なおしゃべりで笑いを誘うプレゼンに精を出します。すると、こちらが気になる学生もチラホラ出てきますので、「次、こちらにね」と目で合図を送り、呼び込むのです。パチンコ業界のブースに、座るどころか立ち入ろうともしなかった学生に関心を持ってもらうために、前述のような位置取りを行い、プレゼンにも磨きをかけたわけです。採用担当者には、こうした発想が必要です。

これは、私がパチンコ業界で採用を担当していた時代に絞り出した知恵です。その当時、遊技機の企画開発から仕入れ、販売までを手がけるフィールズ(東証一部上場)で、人事部人材開発課マネージャーを担当していました。

現在、余暇産業ではさまざまなメディアやコンテンツがあふれています。ただでさえエンタメ好きな就活生は、ゲーム、アプリ、アニメ、音楽、映画、漫画、コンテンツ配信系の会社など、幅広い業界で就職活動をしています。特に遊技機業界で言えば、若者のパチンコ・スロット離れが進むとともに、ギャンブル依存や換金に関する社会問題にさらされていて、到底人気業界とは言えません。しかも、学生からの認知度は、BtoB企業はBtoC企業と比べると低いです。