本当にプロセスに問題はないのか

問題は次だ。

「首相は予算委で、『プロセスに問題はない。私から指示を受けた人は一人もいない』と改めて強調した。国家戦略特区の指定から開学に至るまでの一連の行政手続きで、首相の直接的な関わりを示す事実は出ていない」

本当にプロセスに問題はないのか。安倍首相は指示をしていないのか。直接的関わりはないのか。すべて安倍首相周辺や霞が関官僚の「忖度」とでもいいたいのか。

読売社説を読むと、安倍首相のこれまでの答弁に、うそのかけらもないことになる。

決してそんなことはないだろう。「愛媛県の文書はうそだ。首相案件などもない」と明言できないところにその答えがある。

さらに読売社説は「事案の細かい経緯を巡って、水掛け論に終始するのでは、生産的とは言えまい」と言い切り、11日の集中審議での野党の追及を批判するが、果てしてそうなのか。

ここは水掛け論に終わらせないためにも、与野党が力を合わせて柳瀬氏の証人喚問を行うなど徹底解明に向けて努力すべきではないだろうか。

加計学園の問題では政権擁護が一段強くなる

さらに読売社説はこう指摘していく。

「四国は獣医学部の空白地で、公務員獣医師らの確保が長年の課題だった。文部科学省の大学設置・学校法人審議会が専門的見地から検討し、開設を認めるよう答申した事実は重い」

これまでの安倍首相の答弁と同じ主張である。読売は安倍政権擁護の論陣を張っているが、なかでも加計学園の問題になると、その擁護が一段と強くなる。

「加計学園が新設した岡山理科大獣医学部獣医学科には、募集人員を大幅に上回る出願があった。1期生を迎えて今月開学しており、影響が出ないよう配慮したい」

この書きぶりもどうだろうか。若い新入生の学生たちを人質にとるような書き方である。1期生と加計学園問題をいっしょに論じるようでは情けない。