英語の外部試験も海外受験の後押しに

2021年度の入学者選抜(2020年度に実施)から、大学入試ではセンター試験の代わりに、大学入学共通テストが行われるようになる。その際、英語に外部検定試験が導入される。2023年度までは、共通テストでの英語試験も実施。共通テストと認定試験のどちらかを利用するか、両方を利用するかは、各大学が選択する。

アメリカのハーバード大学周辺の空撮写真。(写真=Science Faction/アフロ)

外部認定試験の中には「TOEFL」や「IELTS」など、海外大学の留学時に使うテストも含まれている。つまり国内の共通テスト対策の勉強が、海外大学への留学に役立つことになるのだ。ベネッセの藤井氏は「受験生が海外大学を目指すことはより身近になるのではないか」と予想する。

「『SGH』(スーパーグローバルハイスクール)や『SSH』(スーパーサイエンスハイスクール)といった文科省の指定校では、論文執筆やプレゼンテーション発表の機会が数多くあります。そこで培われる能力は海外大学の入試に求められるものです。さらに外部の英語検定試験導入で国内大学の入試にも備えられるようになれば、海外大学にチャレンジしようとする高校生はどんどん増えていくと思います」(藤井氏)

優秀な高校生が「海外流出」していく

日本の高校生が海外で活躍することは誇らしい。だが海外大学に進んだ高校生には、そのまま海外で仕事をしたいと考える生徒もいる。日本にとっては「人材流出」にもなりかねない。藤井氏は「海外進学の流れは止められないとすれば、日本の大学は、優秀な外国人留学生を受け入れることを目指していくべきだろう」と語る。

日本最難関の大学だからといって、日本最優秀の高校生が選んでくれるとは限らない。大学も国際競争に挑まなければいけない時代なのだ。現在の入試改革はそうした国際競争に対応した動きといえそうだが、結果を出すには大学独自の取り組みも欠かせない。日本の大学は、世界中の高校生から選んでもらえるような環境づくりを進められるか。残された時間は長くはない。

(写真=Science Faction/アフロ)
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