衝撃的な事実が発覚した。森友学園問題で財務省が関係する公文書の書き換えを行っていたと公表したのだ。同学園の小学校設立認可において“当事者”でもあった橋下徹氏が、安倍政権の対応はどこが悪かったかを指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(3月13日配信)より、抜粋記事をお届けします――。

不正の事実が漏れなかった財務省という組織の恐ろしさ

安倍晋三首相は忖度イコール悪という認識で、財務省組織に自分への忖度は一切なかったというスタンスで臨んだ。だからこそ「私や妻が関係していたら総理大臣や国会議員を辞める」という発言まで行った。そのことを受けて、財務省は、安倍政権と森友学園の関係性が疑われることにつながる森友学園への配慮などは一切ないというスタンスで臨むことになった。

写真=iStock.com/FangXiaNuo

他方、僕は森友学園の小学校新設申請を巡る問題について、「大阪府庁の職員は僕に忖度していたはずだ。ただし違法性・不正はない。それでも私学審査に不備があったことは申し訳ない」というスタンスで臨んだ。松井一郎大阪府知事にも、徹底した事実解明をお願いした。

大阪府は、ただちに関係者へのヒアンリングなどの事実調査をやった結果、僕や松井さんの規制緩和の方針を受けて大阪府私学課は森友学園の審査に臨んだという事実を明らかにした。つまり僕に忖度していたわけだ。ただし僕や松井さんが個別の指示をしたことはないことも確認してくれた。その上で私学課の審査の不備・問題点を明らかにし、それに対する対策を講じることとなった。

もし安倍さんが、僕と同じようなスタンスで財務省組織に大号令をかけていたらどうなっていたであろうか。つまりこの森友学園問題が発生した当初に、役所の忖度性質を十分認識した上で、「自分の妻が森友学園の名誉校長に就任したことが、その後の財務省と森友学園の土地取引に少なからず影響したと思う。違法性・不正はないが、この点は申し訳なかった。森友学園との契約経緯がどのようなもので、どこに問題があったのかを徹底的に明らかにする」という方針を示していたらどうなっていたか。

財務省は、会計検査院が報告したような事実を自ら報告したであろう。首相夫人が名誉校長に就任したことが少なからず影響したことも報告したかもしれない。安倍さんがこのような方針を示せば、書類やデータを徹底して廃棄するというよりも、むしろ徹底して書類やデータをかき集めて事実調査をし、どこに問題があったのかを明らかにしたであろう。そして公文書を書き換えることもなく、職員が自殺することもなかったであろう。何よりもこの1年間の無駄な国会というものもなかったであろう。

財務省は単独で書き換えをやったのか。安倍さんや麻生さん、そして政権に相談はなかったのか。相談がなければ、それはそれで相談なくこのようなことをやってしまう財務省は恐ろしい。そして幹部や複数人の職員が関与しながら、誰もストップをかけない。

財務省は軍隊的組織ともよく言われるが、徹底した上意下達。最後の最後まで不正の事実が報道機関にリークされなかった。

加計学園問題のときには、文部科学省からリークがあった。陸上自衛隊日報問題のときには防衛省か自衛隊筋からリークがあった。ところが財務省はある意味鉄壁な情報管理が行われ、違法な組織方針にすら反する者が出てこない。これは逆に恐ろしい。

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安倍政権はなぜ事実をきちんと確認しようという指揮命令をしなかったのか。どう考えても、森友学園を巡る財務省の国会答弁は国民をバカにするような対応だった。あれだけ必死になって書類やデータが廃棄されたという答弁を連発しながら、関係者に確認もしないという。この財務省の対応を正すのは麻生さんと安倍さんだった。財務省はどこまで政権に相談・報告をしていたのか、そして財務省側が出してくる事実を政権はどこまで検証したのか。

会計検査院の報告書にあるような事実を、財務省自らが報告してくれば、森友学園との土地取引が異常な取引だったことは一目瞭然である。そのときに役所に突っ込みを入れるのが政治の役割である。また、あれだけの異常な国会答弁をやっているときに、残っている書類の確認はしなかったのか。システム変更でデータが消去になるというのであれば、なぜそれにストップをかけなかったのか。そもそも土地価格の算出過程をどこまで聞いて、おかしな点をどこまで突っ込んでいたのか。

これら政治の役割を怠り、財務省が暴走することを安倍政権が許してしまったのであれば、それは政権の責任である。組織がここまでのことをしておいて、そのトップたちに何の責任もないということになれば、今後、日本社会においては、民間企業の不祥事についてトップは何の責任も負わなくてよくなるだろう。民間企業の不祥事の多くは、トップの知らないところで、組織の慣行や現場の作為で行われる。しかしそれでもトップは責任を負わされる。政府というものは、民間企業に対して指導や処分をする立場であることを十分に踏まえて、民間企業に求める責任と同じだけの責任を政府は負わなければならない。

そして、安倍さんの「私や私の妻が関係していたなら総理大臣と国会議員を辞める」という2017年2月17日の発言が、財務省が暴走した根本原因だと思う。

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