北朝鮮情勢が急激に動いた。平昌オリンピックを境に南北対話が始まり、南北首脳会談、そして米朝首脳会談が実現する運びだ。北朝鮮の指導者・金正恩氏はなぜ、強硬姿勢を取り下げたのか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(4月3日配信)より、抜粋記事をお届けします――。

金正恩が貫いた「国際政治を動かすには核兵器が必要だ」という原則

最近の激しすぎる北朝鮮情勢の動きを見ると、僕はやっぱり政治家に向いていないな~と感じるとともに、学者や専門家などの自称インテリたちの言うことは国際政治における高度な政治判断をするにあたって全くあてにならないし、やっぱり学者や専門家などではこの激しすぎる国際情勢の見通しを的確に予測することはできないな、ということを痛切に感じたね。

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写真=iStock.com/narvikk

拉致問題は許せないし、北朝鮮国民を苦しめている北朝鮮の国内政治も放置するわけにはいかない。ゆえに金正恩を変に褒めるわけにはいかないし、彼が非人道的であることは確かだけど、日本の多くの自称インテリが罵っていたようなバカでも、幼稚でもないことも確かだろう。色々戦略的に考えながら、しっかりと戦術を実践している。

まず日本がこれから北朝鮮、金正恩と対峙するにあたって、肝に銘じなければならないことは、金正恩を、バカだ、幼稚だと見下さないことだ。少なくとも金正恩は、彼のことをバカにしていた日本の自称インテリよりもはるかに頭がいい。

金正恩は、国際政治を大きく動かすためには核兵器が必要だという原則を貫いた。

安全で安心な日本国内においては、誠意をもって話せば相手は必ず理解してくれるという大前提で、あらゆることを考える。ところが、国際社会はそんなに甘い世界じゃない。確かに、日本は素晴らしい。日本国民の教育レベルや道徳レベルは異常に高い。でも世界各国が、皆日本と同じレベルだと勝手に決めつけるのは非常に危険だ。

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僕は、日本をお花畑だとバカにするつもりはない。素晴らしい国だと心底誇りに思っている。でも日本は、例えるなら、台風で海が大しけになっているときの港の内なんだよね。港を一歩外に出れば、港の内での態度振る舞い、考えは一切通用しない。

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もし北朝鮮が核武装していなかったらどうなったか?

現在、北朝鮮ほどの小国が、アメリカや中国などを動かし始めている。オバマ大統領のときは、「戦略的忍耐」というフレーズで、アメリカは結局何もやらなかった。北朝鮮を無視し続けた。ところが、北朝鮮が開発してきた核兵器と、アメリカ本土を狙うことのできる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成がいよいよ間近に迫ってきた現在においては、アメリカは北朝鮮を無視するわけにいかず、動かざるを得なくなった。アメリカは徹底的な経済制裁を行いながらも、最終的には米朝首脳会談を模索するようになった。

もし北朝鮮が核兵器やICBMを保有する可能性が全く非現実的なものであれば、アメリカはここまで動く必要もなかったし、場合によっては一気に金正恩の命を奪いに行ったかもしれない。アメリカは、価値観を同じくする西側同盟諸国にとっては力強い味方ではあるけど、アメリカと価値観を共有しない国、敵対する国にとっては大変な脅威である。アメリカは、敵対する国の体制変換を、軍事力で実行することがあるからね。

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こんな状況の中で国際社会を動かしていくためには、相手国に対して危機感を募らせ、動かざるを得ないように仕向けるしかない。こちらに力がなければ国際社会は相手にしてくれない。金正恩はそのことを十分過ぎるほど理解している。

ゆえに金正恩は、大国が動くほどの危機感の醸成に徹底的にこだわり、核兵器の開発にこだわり続けた。

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