最も確かな「過去」を大切にする

うまくいく人とうまくいかない人の行動や考え方の違いを、「自己肯定感」「行動の無駄」「時間とお金に対する認識」という3つの面から具体的に述べてきた。見事に両者の違いが際立ったところで、最後の問いに行きたいと思う。「なぜ、彼らは3つの側面を持てるようになったのか?」である。

人生が成功するかどうかに向けて最も大切なのは、「準備」だ。「PDCA」でいうところのP(プラン)を立てる前の仕込みがきわめて大切なのだ。これができないために、失敗している人が実に多い。

最初に行う「準備」は、自分自身へのリサーチだ。自分を知らなければ、戦略を立てられないからである。「うまくいく人は、自分の価値、強みを知っている」と述べた。それが自己肯定感を生み、さらにその価値を磨き上げて、これだけは誰にも負けないという武器を手に入れられる。そして、ほかにはいない唯一無二の「オタク」として、世間から認められ、稼げるようになる。

過去を振り返るのがつらければ無理はしない

ここで、その前提となる価値、強みをどのように把握するのかが問題になる。

人間は、過去、現在、未来という1本の線上を歩いている。うまくいかない人の目線は常に、現在・未来に注がれる。だからいつも前のめりで、過去を振り返らないのだ。一方で、うまくいく人はよく過去を振り返り、それによって自分という存在を把握する。「私たちにとって最も確かな時間は、過ぎ去った過去の中にしかない」とよく理解しているからだ。過去を見つめて現在の自分を把握し、確かな未来を想定できるのだ。

では、うまくいかない人は、どうして振り返らないのだろうか。過去にいいイメージを持っていないからである。失敗を繰り返し、周囲に迷惑をかけ、多くの人から叱責を受けてきた。そのできない自分を直視するのが怖いのである。読者の皆さんの中にも、過去の振り返りを拒む気持ちを持つ人はいるだろう。そのおびえがあるうちは、必要以上に振り返る必要はない。拒否反応が出るだけだろう。むしろ、目を背けたい出来事にはフタをして、徹底的にプラスのことだけを振り返ったほうがいい。それがプラスの発想、自己肯定感を育むことにつながっていくからだ。

振り返るべき項目はいくつかあるが、特に大事な項目がある。

・楽しかったこと、好きだったこと
・人に評価されたこと、ほめられたこと

の2つである。

オタクとしての自分をつくり上げるには、ある程度の時間がかかる。いくら我慢強い人でも、楽しくない、不快なことを、長い時間をかけて努力し続けられはしないだろう。時間を忘れて取り組めるだけの、自分が好奇心の強い分野で勝負をしなければならないのである。だから、自分が本当に楽しいこと、好きなことを見つけるのが重要なのだ。

同時に、他人に評価されたものは何だったのか、自分は何が得意だったのかを、冷静に振り返ってみてほしい。上下の2つの要素が合致したものが、あなたの真の価値、強みになる。

これを把握できればあなたのマインドは強くなるし、将来の道の方向性も定まってくる。あとは、それに磨きをかけていけばいいのである。

江上 治(えがみ・おさむ)
ファイナンシャル・プランナー
オフィシャルインテグレート代表取締役。ライフシフト代表取締役。1億円倶楽部主幹。
1967年、熊本県天草市生まれ。有名スポーツ選手から経営者まで、年収1億円を超えるクライアントを多数抱える富裕層専門のファイナンシャル・プランナー。
(写真=iStock.com)
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