相手の態度は、ちょっとしたテクニックひとつで変わる。シンプルなのに効果満点な「心変わりの方程式」を6つの場面別に識者へアドバイスを求めた。第6回は「ダメな部下に忠告」について。弁護士の野澤隆氏に聞いた――。

心がけたいのは「相手に同調する」こと

上司から部下への振る舞いのうちどのような行為がパワハラに当たるのか。暴力的な行為はもちろんだが、部下に仕事を全く与えなかったり無視を続けたりするケースもパワハラに該当する。くわえて、ほかの人なら使える経費を使わせない、サービス残業で残っている部下を22時以降に長時間叱る、といった行為もパワハラと認定される可能性が高い。近年では、部署全員に宛てたメールのCCやLINEのグループから合理的な理由なしに外す、といった行為もパワハラと考えられるようになった。

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では実際に部下を叱る際、パワハラにならないようにするにはどうすればいいのか。まず心がけたいのは、「相手に同調する」ことだ。相手の発言にはなるべく頷き、「気持ちはわかるよ」と共感していることを強調する。威厳を保ちつつ、「ご苦労様」のような上から目線の、上下差を感じさせるような言葉はなるべく避けたい。

そして「まずは追い込まず、最終的な結論は先送りにする」。仮に叱っている内容が正しかったとしても、強弁すると相手が塞ぎ込んでしまう場合がある。その場では結論を迫らないことで逃げ道を用意し、相手の気を楽にしておくべきだ。