城南信用金庫は「ソーラーシェアリング」事業に力を入れている。日本には43万ヘクタールの耕作放棄地があり、そこで太陽光発電と農業を両立するソーラーシェアリングに取り組めば、エネルギー事情を改善させ、農業の質も上がるという。「自給、自立できない国は哀れです。自然エネルギーを推奨すべき」と吉原毅・城南信金顧問、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長は語る。

経済産業省が再エネの拡大を阻んでいる

日本は自然エネルギーの普及度で世界に大きく水をあけられている。

「自然エネルギー世界白書2017」によれば世界の全発電量に占める自然エネルギー(水力含む)の割合は24.5%。一方、日本のそれは14.8%(環境エネルギー政策研究所調査)。太陽光はFIT(固定買い取り価格制)導入後、急速に伸びたようだが、16年の新規導入量は約20%減少し、風力の累積導入量は政府目標の約3割にとどまる。

経済界は自然エネルギー導入の遅れに危機感を募らせる。

何が自然エネルギーの導入を阻み、いかにすれば健全な事業を起こせるのか。自然エネルギー事業に積極的に融資をしてきた城南信用金庫顧問、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長の吉原毅氏を訪ね、ニュース動画サイト「デモクラシータイムス」の番組でインタビューをした。理論と実践を兼ね備えた吉原氏の発言からエネルギー需給で「崖っぷちの日本」が見えてくる。

まず単刀直入に訊ねよう。自然エネルギーの阻害要因は、ズバリ何なのだろう。

「太陽光のトップランナーは中国、少し前まで風力でも地熱でも日本は技術面でトップを走っていいましたが、今や大きく立ち遅れています。その理由は『政策障害』です。経済産業省が邪魔をしているんですね。具体的に何かというと、送電線を開放しない。ひとえにこれです。いま送電線は8割が空いているのですね。(朝日新聞1月28日

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にもかかわらず、今後、原発をベースロード電源に使い、火力も使うということで自然エネルギーを接続させない。遮断している。その結果、全国のさまざまなアイディアや資源、フロンティアスピリットが阻まれています」

京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽・特任教授の分析では、自然エネルギー導入の鍵を握る基幹送電線の利用率が、大手電力10社平均で19.4%にとどまる。8割の空きを放置することは、経営資源をみすみす遊ばせているわけで、株主が知ったら、怒りだすのではないだろうか。電気事業連合会の勝野哲会長は、昨年11月の会見で、送電線に空きがあるのに自然エネルギーを接続させない状況を指摘され、「原子力はベースロード電源として優先して活用する」と述べた。