きっかけは「橋下徹が大阪府の職員を自殺に追い込んだ」という虚偽情報のリツイート。橋下徹氏はこのほど、ジャーナリストの岩上安身氏に対して名誉棄損による損害賠償訴訟を提起した。表現の自由を民主主義の「大原則」と語る橋下氏はなぜ、ジャーナリストによるリツイート問題を法廷の場で争うのか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(1月30日配信)より、抜粋記事をお届けします――。

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大臣や知事を辞めたら「ただの人」! 民主主義は素晴らしい

弁護士会の討論会形式の研修会で稲田朋美さん(弁護士、衆議院議員、元防衛大臣)と偶然出くわした話に戻るけど、ほんと日本の民主主義って素晴らしいなって改めて感じたよ。民主主義の実践ツールとしての選挙も含めて素晴らしいってね。

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そしてその延長線上だけど、民主主義・選挙が根付いている国では、権力者はひとたび権力から離れれば、全くの一国民に戻る。

僕もとりあえず、大阪府知事、大阪市長、国政政党代表を務めたけど、辞めれば当然一国民。当然のことだけど何の恩典もなし。稲田さんは今も現職国会議員だけど、防衛大臣を辞めて党の役職にも就いていないので何の権力もなし。

写真=iStock.com/simonkr

僕は弁護士会の研修には文句がいっぱいあるけど、それでも今の弁護士会のルールでは研修を受けなければならない。稲田さんは、普段は東京に住み、週末は地元選挙区である福井に帰るらしいけど、今回は弁護士研修を受けるために大阪に来たみたい。稲田さんのご主人が大阪で弁護士をやっていて、稲田さん自身、大阪弁護士会に所属しているとのこと。

僕と稲田さんは、その他30名程度の弁護士に交じってロの字型テーブルを囲み、討論研修を受けてきました。

防衛大臣と言えば、まあ言えば軍の最高トップ。民主主義が根付いていない国なら、おっかなくてしょうがない。一番きつい国家権力を握っているトップだからね。それこそ国のリーダーよりも力を持っている。ミャンマーの実質的な国家指導者であるアウンサン・スーチー国家顧問も、軍には相当気を遣っている。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長もそれから中国の習近平国家主席も軍を掌握することに政治的なエネルギーを注いでいる。それくらい軍のトップというのは権力を用いて悪さをするのが常套だし、あげくにはクーデターなんか起こして国の最高権力者になったりとかするからね。

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この弁護士会の研修が1月25日。で、朝日新聞のインタビューを受けた記事がネットに掲載されたんだけど、その中では、僕は依然として、稲田さんが防衛大臣になったことを批判している。それに1月28日(日)の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」でも稲田さんを批判している。民主主義・表現の自由が根付いていない国なら、僕は牢屋にぶちこまれているかもしれないね。

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