マネジャーとしての能力を鍛える絶好の機会

欧米企業を真似ようというのではなく、これからの時代に必要なのは、会社から与えられるESではなく、自律的・自発的なエンゲージメントなのです。

エンゲージメントを左右する大きな原因はマネジャー、すなわち上司にあります。もし、あなたが管理職ならば、この「Q12」を意識してマネジメントすれば、部下のやる気は大きく変わるはずです。

ギャラップ社によると、特に業績に直結する、マネジャーが注力するべき6つのポイントはQ1~6です。この6つの質問に部下がすべて5点をつけるのはとても困難とされています。

部下一人ひとりに深くコミットし、仕事を褒め、成長の機会を与え、一方で指導するべきは指導しなければなりません。マネジャーとしての能力を鍛える絶好の機会だと言えるでしょう。

また、社員の退職にもマネジャーが関わっており、定着率を左右するポイントはQ1、Q2、Q3、Q5、Q7の5つです。もし、離職率の高い現場なら、そのマネジャーは自らの責任を感じ、部下がこれらの質問に高い点をつけるように改善しなければなりません。

あなたが経営者であるなら、「Q12」をひとつの山と見立てて、エンゲージメントの頂上にいたるロードマップをつくってください。

仕事を通じて「自分はどんな貢献をしているのか」

まず、山登りの「ベースキャンプ」となるのが、Q1とQ2です。仕事を始める時に必要な基本的事項です。この仕事をすることで「何が手に入るのか」を明確にしましょう。

次の「キャンプ1」がQ3~6で、仕事を通じて「自分はどんな貢献をしているのか」、そして周囲の人たちは自分をどのように評価しているのか。これらの質問に高い点がつけば、上司やチームとの一体感が生まれているのです。

「キャンプ2」がQ7~10です。これらの質問は「自分がここの人間なのだろうか」を問うもので、会社と仕事仲間のミッションが一致しているかわかります。

そして頂上を目指す最後の「キャンプ3」が、Q11とQ12です。この段階では「全員が成長するにはどうすればいいか」を問い、仕事に関わるすべての人に能力を向上させてほしいと願う気持ちを測ります。