日本マクドナルドの業績が大きく回復している。14年7月に発覚した期限切れ鶏肉問題からわずか3年で、上場後過去最高益すら視野に入ってきた。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は、この立て直し成功の要因を「メニュー強化」「キャンペーン」「店舗改装」の3つと分析する。
渋谷駅前の東映プラザ店店内。モノトーンを基調にしたデザインにリニューアルされている。(画像/日本マクドナルド提供)

完全復活まであと少し

日本マクドナルドホールディングスの業績が、大きく回復している。

2017年1~9月期連結決算は、売上高が前年同期比13.2%増の1871億円、本業の儲けを示す営業利益が4倍の150億円だった。最終的な儲けを示す純利益は4.8倍の154億円と大きく伸びた。

14年7月に発覚した期限切れ鶏肉問題から丸3年が経過し、売上高は問題発覚以前の水準まで回復した。当時「マクドナルドは終わった」と指摘する論者もいたが、今やそう考える人はかなり少数になったと言っていいだろう。完全復活まであと少しのところまで来ている。

鶏肉問題直後は、原材料の調達先の見直しや原材料最終加工国・主要原産国の情報の公開など、食の安全・安心に対する信頼の回復につながる施策を中心に行ってきた。また、店舗の清掃を強化したり、4年間で約2000店舗の改装を打ち出したりするなど、店舗環境の改善を図っていった。

こういったことが功を奏し、業績は徐々に回復していった。ただ、これらはマイナスの印象を弱めることには貢献したものの、「マクドナルドが真に変わった」と消費者に思ってもらうだけの力はない。なぜなら、いずれも「当然に行わなければならないこと」にすぎないからだ。マイナスからプラスに変えるためには、さらなる何かが必要だ。そして日本マクドナルドが選んだのは、メニューを強化することと、話題性のあるキャンペーンを打ち出すことだった。

メニュー面では、17年は「レギュラーメニュー」を中心に強化する方針を掲げた。前年の16年は「新メニュー」を相次いで投入したことが功を奏し、業績の回復に道筋をつけることができた。ただ、16年12月期の売上高営業利益率は3.1%にすぎず、鶏肉問題以前と比べてまだまだ低い状況にあった。そのため、大きな利幅が見込めるメニューの販売を強化することが課題となっていたのだ。そこで17年は、一般的に利幅が大きいとされるレギュラーメニューに力を入れていったと考えられる。

1月には、「プレミアムローストコーヒー」をリニューアルした。2月は、新たなレギュラーメニュー「しょうが焼きバーガー」を発売。4月には、肉厚ビーフバーガー「グラン」3種も新レギュラー定番メニューとして投入している。この動きもあって、17年1~9月期の営業利益率は8.1%と高い水準となった。