業績回復のもうひとつ重要な要素として、店舗の改装が進んでいることも挙げられる。マクドナルドは18年度末までに90%以上の店舗を“モダン化”する計画を打ち出し、近年は毎年数百単位の規模で店舗の改装・建て替えを行っている。17年1~9月期は約310店で実施した。鶏肉問題以前から業績が悪化していた理由のひとつに店舗の老朽化があったため、改装は急務となっていた。

店舗の外観と内装の美しさは集客に大きな影響を与える。どんなに清掃に力を入れようとも、美しさを保つには限界がある。消費者にしてみれば、ハンバーガーがどんなにおいしくても、古びた店内で食べさせられれば、「おいしさ」は激減してしまう。

外観が古めかしければ、多くの客は入店をためらってしまう。マクドナルドの改装・建て替え施策は、業績に好影響を与えたと考えられる。目に見える形で「マクドナルドが変わった」と消費者にアピールすることもできただろう。鶏肉問題によるマイナスイメージの払拭にもつながったのではないか。

上場後過去最高益更新の見込み

8月、マクドナルドは好調な業績を受けて17年12月期通期の業績見通しの上方修正を発表した。売上高が前年比9.6%増の2485億円、営業利益は約2.4倍の165億円、純利益は約3.7倍の200億円を予想している。見通し通りならば、純利益は上場後で過去最高を更新することになる。

鶏肉問題が発生する直前、13年12月期の売上高は2604億円だった。17年12月期の見通しはそれを119億円下回るが、確実に差は縮まってきている。完全復活まであと一歩だ。

佐藤昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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